3873.2017年12月20日(水) アメリカが世界から孤立している。

 昨日国連安全保障理事会で、エルサレムをイスラエルの首都と承認したアメリカに撤回を求める議案を採決したところ、当事国アメリカが常任理事国としての特権を行使して拒否権を発動した。このため議案は廃案となってしまった。原案はエジプトが作成したものだが、エルサレムの地位の変更を主張する決定や行動は無効であるとしてトランプ政権に方針の撤回を求める内容だった。アメリカ以外の全14カ国理事国は賛成したが、アメリカの拒否権で常識的な議案が葬られることになり、アメリカが国際社会の中で孤立するという、近年では珍しい光景となった。日本も流石にアメリカに同調するわけにいかず、賛成票を投じた。かつては、安保理事会で常任理事国の反対によって議案が否決されるケースと言えば、そのほとんどが中国か、ロシアの拒否権行使によって全会一致とはならなかった。これも時代が変わったというよりアメリカが変わったと言うべきであろう。

 これに対してアメリカのヘイリー国連大使は猛烈に反発し、どこに大使館を置くかを決める主権はアメリカにあり、どの国からも指図は受けないと語った。問題は大使館の場所ではなく、首都を世界の世論を無視して勝手に変更することを認めることにある。このアメリカの言い分は論点がずれている。まるで世界の、否アラブやパレスチナの現状がよく分かっていない。パレスチナ市民もそう言っている。「アメリカ・ファースト」がここまで徹底するとアメリカは世界の厄介者、孤児になりかねない。アメリカが非難している北朝鮮と同じである。アメリカはどうして近年これほどまで劣化してしまったのだろうか。今後アメリカはパレスチナ問題でどういう行動をしようというのか。すでにイスラエルとアラブ諸国との和平交渉については、中立的な立場を放棄したため従来の主張を貫くことは出来なくなった。アメリカに代わってロシアが仲介の労を取ると意欲を表している。果たしてロシアが各国の理解を得て良き仲介者になれるかどうかは、ロシアの言い分を他国が納得し受け入れるかどうかにかかっている。

 さて、昨日はパンダ、パンダで大騒ぎだったテレビも、今日は大相撲の横綱日馬富士暴行事件についての理事会報告を追いかけまわしていた。しかし、まだ全容が解明されたわけでもなく、肝心の被害者、貴ノ岩の証言は詳らかになっていない。まだまだグレイだ。全てが結着するには相当時間がかかるようだ。この事件を見ていると古い体質の相撲協会らしい悪しき伝統が表面化したことと、それら難問を解決出来ない組織の問題だということに思いが至る。相撲協会という公益財団の存在と運営はどうもすっきりしない。どう結着をつけるにせよ、相撲協会の前途は多難だと思っている。

2017年12月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com