お騒がせ人物のトランプ大統領がまたまた不穏な発言をするのではないかと見られている。イスラエルの首都を現在のテルアビブからエルサレムへの移転を考えているとアメリカのメディアが予想している。近々発表すると見られているが、これに対してフランスのマクロン大統領が電話でトランプ大統領に警告した。
そもそもトランプ大統領がイスラエル寄りの立場を突出させるようになったのは、昨年の大統領選でユダヤ人団体から献金を期待してからである。加えて最も信頼する補佐官、娘婿のクシュナー氏がユダヤ教徒であるせいもある。戦前ヨーロッパ社会で徹底的な反ユダヤの粛清を受けたユダヤ人には、ほとんど支持者、共鳴者がいなかった。それが第2次世界大戦後反ユダヤの空気は消えた。むしろユダヤ人の経済力を当てにする人々が増えた。トランプ大統領には経済力は備わっていたが、さらにアメリカ実業界で活躍する財界人の半数以上がユダヤ人と言われている中で、彼らの力に頼る一面もあった。ユダヤ人社会から精神的、物質的支援を得るためにも彼らの母国イスラエルへの肩入れの姿勢を示す必要があったのではないだろうか。
ただ、現実問題としてエルサレムが首都だと国際社会から承認を得るのは中々容易ではない。パレスチナ自治国が他のアラブ系民族とともに、エルサレムは自分たちの首都であると譲らないからである。1967年第3次中東戦争によりそれまでヨルダンが抑えていた東エルサレムがイスラエルに占領された。その時私はヨルダンの首都アンマンからイスラエルには行けなかった。実際にエルサレムに入ることが出来たのは、あれから45年後の2012年になってからだった。
トランプ大統領は、大統領就任後イスラエルを訪れ、「嘆きの壁」の前で大統領独特のパフォーマンスを行った。自らの利己的行動に過ぎない。身勝手な考えで長年に亘る世界的政治対立点の変更を考えることは止めるべきであろう。少しは良識があるトランプ大統領以外のアメリカ人も、他の国の人々も、自分のためだけに行動する恥知らずのトランプ大統領の浅はかな行動にブレーキをかけるべきである。