北朝鮮が核実験やミサイル発射を続けて国際社会へ向け挑発行為を行っているが、これに対して国連安保理が再三経済制裁を課している。しかしながら、その効果は北朝鮮にとってそれほど致命的なものとはなっていないようだ。今日から韓国各地でこれまでで最大規模の米韓合同軍事演習が始まり、再び北朝鮮に軍事的圧力を加えている。これに対して北朝鮮は意固地になって対米非難を繰り返している。「朝鮮半島情勢を一触即発の核戦争の局面へと追い込む重大な軍事的挑発だ」と自分たちの核実験やミサイル発射の暴挙を棚に挙げ喚き散らしている。
何となく嫌な戦争の足音がひたひたと近寄ってくるような気がする。そんな折も折アメリカでは、メディアの間でティラーソン国務長官更迭の動きが姦しく伝えられている。国務長官は、北朝鮮に対して対話を主張している唯一と言っても好い民間出身の閣僚である。だが、このニュースは寂しいことだが、国務長官は現在のトランプ政権が身の回りの閣僚をほとんど軍出身者で固めている中で孤立しているような印象を与える。
もしこのまま好戦的な軍人強硬派が政権内でイニシアチブを握れば、米朝戦争に発展する可能性が十分考えられる。そうなれば、わが国に甚大な影響と被害が及ぶことは明らかである。現在安倍首相は、北朝鮮への圧力重視を唱えて、アメリカがその言動をすれば、直ぐトランプ大統領に口裏を合わせるように激しい口調で北朝鮮を非難している。しかし、トランプ大統領の口車に乗らずそろそろ次の手、手段を考え直してみては如何であろうか。
北朝鮮の核開発技術は、直近の弾道ミサイル「火星15」発射でかなり高い水準まで到達したことが証明された。これを北朝鮮は核兵力が完成したと自信たっぷりに主張している。一旦戦争の火ぶたが切られれば、今では北半球の国々はほとんど北朝鮮の射程圏内に入り、核戦争の戦禍を被る恐れがある。
圧力一辺倒でダメなら北朝鮮の恫喝に屈するようだが、背に腹は変えられない。そろそろ「押してもダメなら引いてみな」と考え直すことも検討してみてはどうだろうか。尤も安倍首相の頭の中は、基本的に右翼思考で固まっているうえに、柔軟な頭脳を持っているようには見えないところが悩ましいところだ。