3840.2017年11月17日(金) あれ?受動喫煙防止を緩和する厚労省案

 受動喫煙による健康被害を防止する喫煙対策を強化する健康増進法の改正に取り組んでいた厚生労働省が、主旨を大幅に後退させ飲食店の喫煙を緩和する案を検討していることが分かった。2020年東京オリンピック開催に当り、IOCからもレストランなどにおける喫煙について注文がつき、それを受けて厚労省は対策を検討していたと思った。それが、自民党内の葉タバコ農家を中心とする農業従事者や、JT(日本たばこ産業)関係者らタバコ販売が減少することを懸念した業者らの支援を受けた自民党議員らが反対して当初案があっさり後退してしまった。

 これまで厳しい受動喫煙対策を考えていた塩崎恭久厚労相が、8月第3次安倍内閣改造により閣外に去ったことが大きく響いた。改正は、床面積30㎡以下のバーやスナックのみ喫煙を認める当初案から、同150㎡以下の飲食店の喫煙を認める案に大きく後退してしまった。新規店舗や大手資本の店は喫煙を認めないというのも言い訳のような気がする。塩崎前大臣のようなこう硬骨漢がいないと、こういう利害関係が絡む事案は政府が意図する方向に引き摺られてしまう。小池都知事は、東京都は30㎡以下のバーなどを除いて飲食店は原則禁止とする独自の条例案を検討するという。全国がん患者団体連合会理事長と日本禁煙学会理事長は、この案では受動喫煙を防げないとがっかりしている。政治家らの利己的な考えからこういう本質的な問題を誤魔化し、喫煙による悪影響を倍加させている。情けないことである。

 さて、今朝の朝日新聞の隅っこに「千畝氏妻の遺言『有効』確定」との記事が掲載されていた。今執筆中の9月のアウシュヴィッツ収容所訪問記に関連して、その中で「命のビザ」を発給した杉原千畝・元リトアニア・カウナス領事代理についても触れている。記事は私が書いた内容にも関連するもので、先ごろ杉原の遺品について妻の遺言が有効かどうかが争われていた件である。週刊新潮16.12.1付では地裁で妻の遺言が無効とされたと書かれていたが、この記事では上告審で有効と判断され、一応の決着がついた。それにしても杉原千畝の功績を考えると家族内で骨肉の争いのようなドロドロした話は杉原のレガシーに傷をつけるように感じて、あまり後味が良くない。これで一件落着にでもしないと、リトアニアで敬愛され、顕彰碑まである杉原千畝の功績を汚すようなことにならないか心配である。

2017年11月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com