5カ月ぶりに新宿のハイアット・リージェンシーで「湘南OBカルテット」による恒例の食事会を持った。南極専門家の神沼教授、元大手銀行役員の天野さん、それに兄を加えた同級生3人と1年後輩の私である。3人の先輩らは今年それぞれ傘寿を迎え、私が来年傘寿を迎えることで合計319歳の人生ベテランの集いでもある。それぞれ豊かな経験を積んで半生を送ってこられ、海外経験も豊富であるので、話の内容が中々興味深い。神沼さんは前立腺の手術を終えたばかりだが、闊達に南極の体験談などもお話しになる。
天野さんから同級生・杉原弘樹さんのニューヨーク時代の話を伺った。杉原さんとは、第2次世界大戦中リトアニアのカウナス領事館でユダヤ人に日本通過のビザを発給し、ユダヤ人6千人の命を救ったとその積極的な行動を広く賞賛されている杉原千畝元領事代理のご長男のことである。湘南高卒業後早大を出られてから渡米し、一時西武に勤務されたが、その後アメリカで起業され度々日本へ帰って来られたという。天野さんが三井銀行ニューヨーク支店勤務時代に同地で何度も弘樹氏に会っていたと伺った。天野さんは鎌倉霊園墓地での弘樹さんの納骨式にも立ち会ったとも語っておられた。同級生の証として高校卒業時の記念写真のコピーを兄からもらったが、これを今書いているアウシュヴィッツ訪問記原稿上に掲載したいと考えている。残念ながら弘樹さんはすでに他界されたわけだが、現在66歳の末弟伸生さん(千畝氏4男)は今イスラエルに居住され、愚兄とはFacebookで連絡を取り合っていると聞いてびっくりしたところである。杉原家は、かつてわれわれが住んでいた藤沢市鵠沼のわが家ともごく近所だったことに強い縁を感じている。通学途上の江ノ電で何度か顔を合わせていたに違いないと思っている。
昭和28年弘樹さんは私立湘南学園中から湘南高校へ進学された。慶應高校へ進学し歌手から作曲家になり今夏亡くなられた平尾昌晃氏とは中学では同級生だった。湘南高校長を辞められてから現在湘南学園園長をされておられる川井陽一先生にもご連絡してみようかと思っている。
いろいろ個人的なネットワークが意外な縁で繋がっていることに感心したり、感動したりしている。
さて、来日中のトランプ大統領夫妻は午前中皇居で天皇・皇后両陛下にお会いになった。大統領に大して粗相がなくてホッとしているが、天皇と挨拶する時にも会話する時にも上着のボタンが外れている姿は、少々不作法でだらしない感じがした。一流の経済人だったならもう少し身なりに気を遣えないものだろうか。
ところで今朝またもアメリカ・テキサス州の人口僅か600人の小さな町の教会内で銃乱射事件が発生した。家庭内の問題で米空軍を退役させられた1人の元空軍兵の男により26人が殺害された。先月にもラスベガスで58人が銃により殺害されたばかりである。アメリカの無法な銃所有の実態がこのような悲惨な事件を頻発させている。トランプ大統領は、犯人は精神錯乱状態だったが、精神障害の人物がいることがアメリカの問題だと述べて、銃所有及び銃規制についてはまったく触れていない。これだけ凶悪な事件が連続して起きるようでは、いかに銃所有の正当性についてゴタクを並べても説得力はなく、銃規制に一日も早く手を打たなければいつまでも同じ危険な状態が続く。こうして、銃により罪のない市民が毎年殺害されていくのだ。これは、大統領以下全米の政治家すべてが、人の生命をどう考えるのか問われている深刻な問題だと思う。どう考えても一般市民の銃所有を法律により禁止する以外に、残虐な銃乱射による事件発生を防ぐ方法はないように思う。
アメリカ国民も今や西部開拓時代は終わったと悟らなければ、またぞろ同じような悲惨な事件は繰り返されることだろう。