今海外で注目を集めている事象が2件ある。ひとつは、スペインのカタルーニャ自治州独立で、他の1件は1963年に起きたアメリカのケネディ大統領暗殺事件に関わる資料の公開問題である。
カタルーニャ独立はすでに住民投票により独立賛成派が圧倒的多数を得ていたが、27日州議会が「建国を始める」と独立決議案を賛成多数で採決した。これに対して独立を認めようとしないスペイン中央政府が、初めて州の自治権停止の措置を承認した。政府は閣議で州の行政、議会、警察などに介入する具体案を決める。6カ月以内に中央政府の権限で州議会を解散し、選挙を実施する予定である。
当分スペイン国内は落ち着かないだろう。この問題が発生した原点はフランス国境に近いカタルーニャ地方が、スペインの他州とは、文化、言語などが若干異なり、そのうえ州都バルセロナを中心に同州には外国からの観光客が多く訪れ、他州より財政的に豊かで、カタルーニャ地方の住民にしてみれば、自分たちの税金で他の州が潤っており、自分たちは他の州のために奉仕しているとの意識が強いようだ。
かつて文部省教員派遣団でスペイン北西部のビルバオに滞在していた時も、ちらほらカタルーニャ独立の話を耳にしたことがある。いよいよそれが現実になってきたわけだが、住民は熱狂的に独立を求めているだけに、果たして中央政府が介入したからと言って物事がそう簡単に片付くものだろうか。国際社会まで巻き込んで、スペインを取り巻く環境も息苦しくなって来た。
もうひとつの事象は、アメリカのケネディ大統領暗殺事件に関する非公開資料の一部公開である。事件から12年経った1975年6月事件現場を訪れる機会があった。ルイジアナ州シュリーブポートで開催されたアメリカ自然食品全国大会に、日本からただひとり参加した帰路テキサス州ダラスから参加した老人に誘われ、彼の車に乗せてもらったダラスに立ち寄った。ダラス滞在中に容疑者オズワルドがそこから射撃したとされた教科書販売会社倉庫の記念館を見学した。車上のケネディが撃たれたスポットを窓から狙える角度の位置に立ってみた。その時腕の立つ射撃手なら車上の人物を射落とせるだろうと思えた。
アメリか大統領暗殺事件は発生当時全世界に大きな衝撃を与えた。だが、事件の2日後に拘束されていた容疑者オズワルドが思いがけなく射殺されるや、捜査当局は事件発生はオズワルドの単独犯によるものと断定した。その当時から単独犯か否か、ソ連のスパイ説など疑問が噴出していたが、その最大の疑問は警戒厳重な中で護送された容疑者が、いとも簡単に射殺されたことだった。オズワルドがロシアの秘密機関と通じていたとか、単独犯ではないとの憶測が流れた。最近になって大統領の頭部を貫通した弾は、背後から撃たれたものではないとの医師の診断書も提出された。それなら犯人はオズワルド以外にいることになり複数説が成り立つ。
しかし、トランプ大統領が残りの資料は非公開にするよう命じた。自身昨年の大統領選でロシア情報筋との接触が問題視されている折でもあり、あらぬ噂を打ち消すために資料公開を避けたのではないかと言われている。いずれにしろきな臭い事件で、今後どういうことになるのか、事件発生以来54年も経つが、今以って真相は燻り続けている。
台風21号が北上しつつあり、このところ風雨が強いが、今晩中に関東地方を通過するようだ。