3818.2017年10月26日(木) 習近平総書記、長期政権体制へ

 新聞各紙が挙って昨日閉幕した中国共産党第19回党大会の報告をし、今後の展望を予想している。特に経済紙の日経が党人事、内政、外交について日中有識者の意見を掲載し、新たな党常務委員の横顔まで紹介していることが興味深い。

 一口に言えば、第2期習近平政権は現指導部が「習1強」による長期政権への布石を打ったということである。周囲からライバルを追放して、先ず習総書記の独裁体制を構築し盤石の基盤を作り上げることである。権力者というのは欲深いものだ。それでもこれまで江沢民元総書記、胡錦濤前総書記らはそれぞれ第2期目に次の後継者を党常務委員の中に入れていた。だが、欲張りの習近平はそれをやらなかった。次の政権トップが誰になるのか、現状ではまったく見当もつかない。だが、党規約を改正して引き続き第3期、第4期と続け、その後に自らが永世総書記を続けるつもりだろう。そのためにすでに68歳の定年条項を改正した。現状のままでは、この第2期内に現在64歳の習近平は定年を迎える。権力の集中、個人崇拝に走り、国家を私物化する気でいるのではないか。

 その一方で、国民は放って置かれる。一個人栄えて国家亡びるの典型ではないだろうか。こうした動きに国民が表面上何の抵抗も出来ないとは、徹底的な言論弾圧をやって国民の自由を抑え込んでいるからである。だが、考えれば手段は必ずある筈である。国民に向けて点数稼ぎの反腐敗運動を行っているが、中国自体が腐敗しているからだ。非民主的な路線を歩みつつある現状を哀れに思う。

 さて、曽野綾子さんの「夫の後始末」という講談社発行の著書が今夕の新聞広告欄に載っていた。第3刷というからかなり売れ行きは良いようだ。ただ、この書名には正直言って驚いた。今年2月に亡くなった夫の三浦朱門氏90歳の介護生活を85歳の妻である著者が世話していた様子を描いているようだが、「『奉仕』とは排泄物の世話をすること」などとあまりにも露骨な表現で亡夫の闘病生活を書いている。生前は円満なご夫婦だったが、こんな描き方をされては夫三浦朱門も天国で恨んでいるのではないだろうか。

 2年前私の知る下重暁子さんも「家族という病」という同じような書と誤解されそうなベストセラー書を出版されたが、これは家族は厄介者というイメージで書かれた本である。普通の感覚ではとても考えられない。下重さんにとって世間から人物評価を落としかねない内容だと思うが、下重さんがどうしてこういう本を書かれるのか理解に苦しむ。この気持ちは曽野さんについても言える。

2017年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com