昨日行われた衆議院議員総選挙の結果は、公示前には自民党・公明党の不利が予想されたが、結果的には安倍首相のモリ・カケ疑惑隠しも何のその、自民党は解散前の過半数284議席を獲得して、7月の東京都議選で惨敗を喫した汚名を挽回した。自民党候補者に投票した有権者が僅か30%であったにも拘わらず、自民党が獲得した議席数が60%強というのは、小選挙区制が自民党にとっていかに有利に働いていたかということが分かる。政権与党の自民・公明党当選者が議員定数2/3の310議席を超え、参議院は別にして憲法改正発議の要件のひとつの壁を突破した。保守派の大勝利である。やはり日本人は基本的には保守派なのだろうか。
総選挙前から自民党は、憲法9条の改定を模索していただけに、これから自衛隊の位置付けを9条の条文、条項に明文化するよう動くに違いない。
解散直後に小池百合子東京都知事が、民進党の道化師・前原誠司代表に持ち掛けて新党「希望の党」を結成する大きな仕掛けを行い、当初は大きな話題を提供した。だが、その後党としての政策が広く受け入れられることなく存在感が薄れて行った。日が経つにつれ、新党が受け入れない候補者を「排除する」と言ったことが不評を買い、形勢は不利に傾いていると報道されていた。結果的に解散前の議席数を獲得できず、小池代表をして「完敗」と言わしめた。党の代表者として当然居るべき投開票の日に、事務所にいないばかりか、パリに出張していたとはいかなる理由だろうか。これでは、新党代表としても、本職である東京都知事もいい加減な気持ちでやっていたと見られても仕方あるまい。無責任の極みではないだろうか。所詮パフォーマンスだけの人のようだ。
もうひとつ意外だったのは、共産党が案外振るわなかったことである。最近は選挙の度ごとに数字を伸ばしていたが、前回21名を当選させたにも拘らず、今回は半減に近い僅か12名だった。立憲民主党及び社民党と協定を組んで候補者を調整し取り下げた点も予定した数字を伸ばせなかった原因だと思う。今後の課題だと思う。
勝ったのは自民党と公示3日前に結成された立憲民主党である。立憲民主党は慌ただしい結党に拘わらず、当初から枝野幸男代表は毅然とした対応をしていたし、選挙運動では説得力あるアピールをしたことである。民進党は9月1日に行った代表選出選挙で、枝野氏より前原氏を選んだことが間違いの始まりだった。
それにしてもどうも後味はすっきりしない総選挙だった。
さて、自民党が総選挙で大勝したことを受けて、今日の株式市場は9月29日以来15営業日連続で上昇し、日経平均株価は21,696円となった。前日比239円の値上げである。これは実に56年9カ月ぶりである。株高に越したことはないが、経済も政治も関係者は真面目にやってもらわなければ困る。