NHKテレビ「ニュースウォッチ9」を見ていた時、突然「ラッカ陥落、IS(イスラム国)事実上崩壊」のテロップが表れた。ISについてはいつも似たような報道がされては、したたかなIS はまたどこかでテロを繰り返すようなことがしばしばあった。だが、今度ばかりはISの首都ラッカが、クルド人主力のシリア民主(SDF)軍の攻撃により制圧され解放されたことによって、さしもしぶとかったISも降参したと見られている。もうひとつISの活動の場、イラク国内ではモスルを占拠していたISは、すでに復活の目が消えてしまったようだ。シリアとイラクでISに制圧された都市は壊滅的で、多くの難民を生み出している。闘いは終わっても都市、国民の生活再建など多くの問題が残されている。それでもとにかく内戦にケリがついたことを歓迎したい。
さて、これまで長い間観たいと思っていた映画「シンドラーのリスト」を先日購入したDVDで漸くゆっくりと観た。だが、深刻な内容の3時間15分もの長編作品だけに、観ていて些か疲れた。1993年名匠スティーブン・スピルバーグ監督のホロコーストへの強いこだわりと思い込みによって製作され話題となった映画である。ホロコーストは、非人間的なユダヤ人蔑視から生まれた。DVDの中でも「人間以下とされているユダヤ人」、「ユダヤ人は害虫、ネズミ、シラミ」、「ユダヤ人にキスしたら収監」のような激しい言葉がぶつけられていた。
今回アウシュビッツ収容所を訪れるに際し、そこから近いクラクフの収容所を舞台に描かれた作品であるだけに何とか観る必要に迫られていた。実際アウシュビッツ近くのビルケナウ収容所も映るシーンがあった。先入観による洗脳を警戒して事前にあらすじは読まなかった。そのため主役のシンドラーがドイツ人実業家であることすら知らなかった。そのドイツ人がユダヤ人捕虜を処刑に追い込まず、労働者として収容所で働き生活させてドイツの敗戦によって捕虜を救うストーリーである。実際にアウシュビッツ収容所を見ているだけに、身につまされた。これからアウシュビッツ取材記を書かなければならないが、どういう切り口でドキュメントをまとめるかしばらく考えたい。