3769.2017年9月7日(木) ビルマ政府のロヒンギャ問題への対応

 昨日の本ブログにビルマのイスラム系ロヒンギャ民族問題とそれを解決しようとしないアウンサンスーチー国家顧問兼外相の姿勢について、疑問を呈した。今夕のNHK「ニュースウォッチ9」の中でもスーチー氏に対して厳しい論評を加えていた。最年少でノーベル平和賞を受賞したインドのマララ・ユスフリイさんも、スーチー氏の消極的な姿勢を非難し、速やかに同問題に関して前向きな行動を取るようスーチー氏の今後の行動に期待を寄せてもいた。

 また、今朝の朝日「天声人語」でもビルマからミャンマーへの国名変更の理由と目的にまで遡りながら、このロヒンギャ民族抑圧問題とスーチー氏の同問題不干渉について言及している。

 偶々4年前スーチー氏が訪日した際民主化への自らの行動について謙虚に「私は魔術師ではありません」と述べたことに触れ、こう書いている。「魔法の力は誰にもない。だから暴力でなく話し合いがある。少数者の命と権利がないがしろにされる事態がこのまま続くのなら、何の民主化だろう」と民主化運動のリーダーだったスーチー氏の後ろ向きの姿勢をやんわり批判している。

 同時に昨日のブログを読んでくれたのだろうか、ベオグラードに住む友人の山崎洋さんから、先日雑誌2冊を郵送した礼を兼ねて、一般的なロヒンギャ民族抑圧とスーチー氏の対応に関する一般的な批判に対して、今朝彼らしい意見を述べた異論メールをもらった。彼は旧ユーゴスラビア時代から現在のセルビアに半世紀以上に亘り生活している。ユーゴ分離当時からコソボ独立騒動に付き合わされ、セルビア国籍も有する彼はそのコソボ独立問題を例に挙げてロヒンギャ独立の可能性についてコメントしている。現時点ではロヒンギャ独立問題はまだ大きな問題にはなっているわけではない。

 しかし、イスラム過激集団やビルマ政府に内政干渉しようとする外部勢力が、ロヒンギャ独立問題もちらつかせながら対立を煽る戦略を実行しているため、政府軍に先手を打たせ掃討作戦を行わせている可能性も排除出来ないという。この点をアメリカから囁かれたスーチー氏が目をつぶることもあり得るとの彼なりの考えを示唆してくれた。コソボ問題で散々セルビアがアメリカ、EU諸国、また国連にも出し抜かれた経緯を傍で観察していた実体験からも彼の考えもある面で理解出来る。こういう民族問題は複雑な要素を孕んでいて、外にいたのでは想像するしかなく、実態と本質がまったく分からない。これも現地で肌から知る臨場感がいかに大切かという点で大いに参考になる。

 今世界の美術界で話題になっていたのが、スペインのシュールレアリスム画家・サルバドール・ダリの娘と主張する女性が、親子関係を認めるよう訴えていたことである。マドリードの裁判所がDNA鑑定しか確認の方法がないと判断し、カタルーニュ地方にある「ダリ劇場美術館」に埋葬されていた遺体を掘り起こし検体を鑑定した結果、親子関係の鑑定は出来なかった。美術館内の床の下に埋葬されていた遺体を掘り起こすために、かなりの手間をかけたが、ダリ財団としてはホッとしている。だが、これには相当の費用がかけられている筈であり、事前にダリ財団はその女性に親子でなかった場合は、女性に費用の負担を求めると言っていたが、霊媒師とされる女性にそれを支払う財力があるだろうか。それにしてもここまでやらなくても、別の方法で決着をつけることは出来なかったのだろうか。

 この女性は、親子関係が証明されれば、ダリの遺産を継承出来ると考えたのだろう。まあ欲の皮の突っ張った人間はどこの世界にもいるものだ。

2017年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com