観光庁が日本から出国する人に新税「出国税」を課すことを検討しているようだ。この観光庁という官庁は、一体何を考えて安易にこういうふざけた課税を考えるのだろうか。それははっきりしている。敢えて言えば、観光庁は他人のふんどしで相撲を取ることを当然と考えているからである。つまり自分たちで知恵を絞り、同じ観光業界の人たちと議論百出の検討を重ねた末に結論を出し、お互いに協力し合って実行するというごく当たり前のことをやろうとしないからだ。やることだけを一方的に決め、何でもかんでも善きに計らえと弱い立場の旅行業界に負担を強いているのである。
そもそもどうしてこんな新税が必要なのか。観光庁は訪日観光客数を東京オリンピック開催の2020年には、16年に比較して約66%増の4千万人の目標を掲げている。そのために海外における宣伝や受け入れ環境の整備が必要としている。そのための安定財源が必要だとしている。それは分かる。だが、観光庁の歪んだ考えは、ここでも発揮されている。ざっくばらんに言って、観光収入はすべて上納させて、支出される費用は観光業界に押し付けようとしているのである。収入が増えるので、その増えた収入分から経費を支出すれば済むことである。役所のより傲慢で許しがたいのは、近年うなぎ上りで増え続ける外国人観光客のお陰でわが国の財政に貢献しているのは、すべて観光庁の賢明なる観光行政や政策の努力によるものだと吹聴するが如き発言である。過去においてインバウンドについては国は何にもやって来なかった。旅行業界が黙々と努力を積み重ねてきた。それを役所には他人の手柄をすべて横取りしようとする厚かましさがある。
こんな観光行政で全出国者に容赦なく税金を巻き上げていたのでは、今日インバウンド業の繁栄により日本の財政に寄与するよう努力してきた、観光業界で働く人々の気持ちは救われない。一体いつまで続く役人天国だろうか。