3143.2015年12月21日(月) 100年間の歴史ドキュメンタリー番組

 今年はわが国にとって太平洋戦争終戦70周年であると同時に、世界史的にも第2次世界大戦終戦70周年に当る。更にあの激しかったベトナム戦争終結40周年の記念すべき節目の年にも当っており、いろいろな視点から戦争を回顧し、戦争の悲惨さをアピールする優れたドキュメンタリー番組がテレビで放映されている。しかしながら、この点ではNHKの独壇場と言っても良いと思う。特に第1次大戦の記録映像は欧米のメディアや公的機関から貴重な資料を借りるので、長く欧米の放送局と交流のあるNHKに取材力、資料収集の点では民間テレビ局はとても太刀打ち出来ない。

 10月にガダルカナル島の戦没者遺骨収集を扱ったテレビ東京の報道番組なんか、その歴史的内容や解説は間違いだらけであまりの嘘三昧に、同社に対して質問をぶつけ、報道の内容について訂正するよう要求しているところである。こんな低レベルのドキュメント番組を制作されたのでは、戦没者や遺族は浮かばれまい。事前調査も不充分だが、これではどう考えても民間テレビ局はNHKには勝てない。

 ベトナム反戦については私自身それとなく関わって来たので、ベトナム戦争終結40周年記念日、4月30日にベトナム全土で放映されたベトナム国営テレビの取材にも協力した。また、29日付‘The Japan Times’には戦争終結を記念して小中陽太郎さんらとともに気勢を挙げているポーズの写真が掲載された。

 そのベトナム戦争関連の番組では、NHKのドキュメンタリー「サイゴンの陥落、緊迫の脱出」が印象的だった。1975年4月30日に北朝鮮軍が首都サイゴンに乗りこんで来る前の米軍、及び南ベトナム軍関係者のサイゴン脱出の各種の様子をこと細かく伝えていたが、これまでアメリカ大使館屋上からヘリで飛び立つシーンしか脳裏に残っていなかった。ところがこの番組では、海上に停泊する米駆逐艦へヘリで脱出する人々を乗船させ救助するシーンが強く心に訴えた。南ベトナム空軍ヘリが駆逐艦甲板上に着陸出来ず、避難民をロープで吊り下ろし、その後ヘリは海上に不時着水してパイロットが泳いで駆逐艦に辿りついた画像を観たのは初めてである。

 先週金、土、日曜日に加古隆作曲の重苦しいが、何となく心に残るテーマ・ミュージックをBGMにして放映された「新・映像の時代」1~3回は、今週3回分を合わせ計6回で纏められている。第1回「百年の悲劇はここから始まった」、第2回「グレートファミリー―新たな支配者」、第3回「時代は独裁者を求めた」の3回を観た限りでは、時代背景、歴史の流れ、世界をリードした政治家や経済人、発明家のプライバシーまで紹介しながら登場させて、分かり易く解説し中々よく出来た作品だと思う。貴重なフィルムが目白押しで、第1次大戦前夜の暗い社会情勢や雰囲気から、ベトナム戦争まで戦争一直線になって行く世相をドイツの2度の敗戦、ロシア革命を基軸にうまく編集されている。

 動画に登場した人物も、チャーチル、ロイド・ジョージ、レーニン、スターリン、ウィルソン米大統領、ヒットラーら錚々たる政治家を始めとして、昭和天皇、ニコライ二世、ジョージ五世らの王皇族、ロックフェラー、モルガン・ジュニア、エジソン、フォード、ヘレンケラー、マックスファクターらの他に、ピカソ、ココ・シャネル、ライト兄弟、リンドバーグ、アラビアのローレンスら多方面の異才が姿を見せ、この画像は資料としても貴重なものだと思っている。まだ、3回分が放送されるようなので、今から楽しみにしている。

2015年12月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3142.2015年12月20日(日) コロンビア大学カーチス教授の日本政治論

 日本でも知名度の高い外国人による日本政治研究の第一人者として知られる、コロンビア大学のジェラルド・カーチス教授が75歳の今年を最後に大学を去る。大学の最終講義を終えた後「日本は復活したか?」と題したある討論会で教授は、「官邸に権力が集中しすぎており、自民党や官僚機構による健全な意味での『チェック・アンド・バランス』が働かず、民主主義の危機にある」と述べ、自民党については「政治家の教育システムが崩壊してしまい、若手の政治家には『本当の政治家の匂い』がしない」と語ったそうである。正に図星であり、この発言を聞いて嫌な予感がした世襲政治家もいるのではないかと思う。選挙で当選することだけを願い、日頃政治家として欠かしてはならない基本的知識の涵養、外交・経済・社会問題の研究、世間常識、公的精神、等々を磨かなければ、議場に座を占める意味がない。その点から言えば、政治家にはもっと厳しい責任と行動を求めなければならないと思う。

 はっきり言って今メディアは、ごまめの歯ぎしりをしているに過ぎない。メディアには政治家は公のために奉仕するべきだという正論を、国民の声として行動に訴えるよう世論を盛り上げ、政治家がよこしまな気持ちを持たないよう監視する責任があると思う。

 メディアがダメだから、政治家がのさばり、劣化するということを肝に銘じ幾度も反芻し、もっと政治家が反省するよう厳しい意見と対応をつきつけて欲しいと思っている。

 さて、今月2日昔のプロ野球チーム「高橋ユニオンズ」の同窓会が銀座で開かれた。予め佐々木信也さんからそう聞いて、出席される元選手らに拙著を寄贈したいと申し出て佐々木さんに20冊ばかりお贈りした。どんな結果だったか、今日佐々木さんに電話で尋ねてみたところ、今まではどのくらいの規模だったか知らないが、今回は新たに元選手2名の他に、チームの元バットボーイや、高橋龍太郎オーナーのお孫さんら全員で19名が参加されたと喜んでおられ、拙著も出席者に喜んでいただいたと伺いホッとしている。

 チーム解散後60年近くを経た元選手らが、ともかく一堂に会するというのは中々出来ないことだと思う。これも佐々木さんのような人間的に好かれる人が、お世話をしているからだと思う。私もちょっぴり関わることが出来て嬉しく思っている。

2015年12月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3141.2015年12月19日(土) 左膝の激痛に愕然

 夜中に左膝が痛みだし、あまりの痛みについ目が覚めた。こんなことは初めてである。これまでにも時々痛むことはあったが、パテックスのような湿布をすれば、しばらくして痛みは消えた。今月初めぐらいからその痛みが強くなって整形外科医で診てもらったが、しばらく様子を見るという診断だった。

 この膝が初めて痛み出してからかれこれ10年近くになる。診断は「リューマチ性発筋痛症」というもので、これまで投薬で経過を見守ってきた。CRPという数値が0.3以下なら問題ないそうだが、そのラインを行ったり来たりで中々0.3以下の安全値が続かない。年齢的な問題もあるとは思っている。これまで格別強い痛みがあったわけではないので、気にせず定期健診で診てもらってアドバイスをいただく程度だったが、昨晩のように突然痛みが出ると困る。

 昨晩は奈良に住んでいる長男が東京へ出張序に高校時代のラグビー仲間と忘年会をやって、そのまま遅く泊まりに来た。すでに白河夜船だったので、今朝その話を聞いてみるとやはり楽しい忘年会だったようだ。その中で今春「和民」社長に抜擢され、話題となった出世頭の清水邦晃くんが、多忙な中を参加したそうだ。彼も最近「ブラック企業」と会社がメディアから批判された中で、反って昔の部活仲間との遠慮のないひとときがストレス解消の一助になったのではないだろうか。中々しっかりした若者なので、何とか苦境を切り開いてくれると思う。

 その長男が今夕、私が今年喜寿を、妻が古稀を迎えたのを祝って玉川高島屋内の「鎌倉山」でローストビーフをご馳走してくれた。やはり鎌倉山の名物は旨い。3年後の傘寿には何をご馳走してくれるかな? 何だかんだ言ってもまずは健康であるに越したことはない。膝はもう少し様子を見て、痛み具合によっては整形外科医に相談しようと思っている。

 ところでお年寄りへのバラマキと言われる低年金者向け給付金の予算が、昨日今年度の補正予算案に盛り込まれることが閣議で決定された。10日前にも本ブログで取り上げたが、低所得の高齢者に1人当たり3万円の臨時福祉給付金をバラまく。その予算が3624億円というから大した金額である。政府はこうしてお金をバラまいて来年の参院選を有利に進めようとしている。ある経済官庁幹部は「今は選挙前に公共事業を打っても票にならない。むしろ直接現金をばらまけばいいという発想で、本来なら許されない」と憤っている。若手人気議員の小泉進次郎・自民党農林部会長も「アベノミクスを支えるのは高齢者か」と手厳しい。恩恵に与かれない立場の高齢者の1人として考えても、どうもこのバラマキは、恩恵に浴するラッキーな高齢者を除いてどの年齢層からも理解され難いのではないだろうか。しかし、敢えてそれをやるところがお坊ちゃん総理、安倍晋三流なのだろうか。

2015年12月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3140.2015年12月18日(金) アメリカ金利上げの影響は?

 今朝の朝日紙上にメディア法の専門家、田島泰彦・上智大教授が、昨日気になって本ブログでも指摘したように、韓国の司法が同国外交省の要望を斟酌したとの疑念を生じさせた産経新聞前ソウル支局長の朴大統領に対する名誉棄損罪の無罪判決について、司法への政治介入として憂慮していると語っている。名誉棄損罪としての起訴は無罪判決が出て当然であると考えているが、韓国の一部では厳しい見方もあった。それだけに政治的な動きと絡んで無罪判決が出されたことに、断言は出来ないが、行政が司法に踏み込んで相当の圧力と干渉をしたと思われても仕方があるまい。今後このような三権分立を損なう恐れがある裁判については、国内国外であれ、しっかり監視していく必要がある。

 昨日はもうひとつ世界中が注目していたニュースがあった。やるぞやるぞと思わせぶりばかり匂わせていたが、ついにやってのけたのだ。昨日アメリカの中央銀行に当るFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が2008年以来続けていた国内ゼロ金利政策を終えた。リーマン・ショック以来の金融緩和策を止めることにしたのである。ただ、その原因とその結果がどうなるかが良く分からない。アメリカ国内の金利をこれまでの0~0.25%から、0.25~0.50%へ利上げすることが決定された。だが、この影響が吉と出るか、凶と出るか、普通人には見当もつかない。他国への影響も分からない。利上げの噂が出て一昨日以来、それまでの下降傾向だった株価が一転して上昇に転じている。

 ところが、新興国や産油国では通貨下落の圧力を弱めるためだろうか、メキシコ、チリや中東諸国がアメリカに追随して利上げを決めた。今後更に途上国が追随するのか。

 アメリカがゼロ金利政策を続けていた足かけ9年間は、これ以上アメリカに景気の悪化がなかった。景気の底だった。仮にそれ以上不況が深まればゼロ金利では経済が維持出来ない。0.25%に戻しただけでも景気対策に多少余裕が出来る。途上国にはゼロ金利のまま景気だけがアメリカに置いて行かれてしまう不安感があって、後先考えずに追随して利上げに踏み切ったのだろうか。

 どうも理解し難い。

2015年12月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3139.2015年12月17日(木) 今日は国内外でもプライベートでも諸々あった。

 昨日奇妙なメールが届けられた。英語で書かれているが、あまり深読みすると落とし穴に落ち込む恐れもある。さっと見た程度であるが、私に何らかの理由があって支払いが滞っているので、添付の請求書を見てくれというものだった。その金額も具体的で$580といかにも信憑性がありそうなメールであるが、何ら身に覚えがない。そこでいつもお世話になっているITコンサルタントの小糸さんに尋ねてみた。その添付資料というのは、‘[Spam]Your account has a debt and is past due’と題するものだった。小糸さんがそれをgmailで調べてくれたところによると、その添付資料からウィルスが検出されたらしい。小糸さんからメールを開いたかどうかを尋ねられたが、幸い開いていなかったから良かった。危ない、危ない。まったく油断も隙もない。最近安倍首相のHPもウィルスに冒されたと聞いた。これからは一層慎重に作業を進めるよう気をつけたい。

 さて、国内外で注目される裁判所の判決があった。国内では昨日最高裁で夫婦が結婚後同姓を名乗ることは合憲との判断が下された。もうひとつ下された判断は違憲とされた。これは「女性は離婚して6ヶ月間は再婚禁止」というもので、再婚禁止期間を100日とするよう求めた。前者については、近年夫婦が結婚後どちらかの姓を名乗ることの不合理を女性の立場から、結婚後も旧姓を使用したいと出されたものである。明治時代から100年以上に亘って夫婦の姓を一つに決めて運用されてきた歴史と利便性を勘案し、同時に子どもが学校で両親の姓が異なる場合子どもがどちらを選択するか等、新たな問題が派生することも考慮したのだろうか、今まで通り夫婦は同姓であるべきとの判断を下されたわけである。

 一方、外国における裁判では、韓国で産経新聞・加藤達也前ソウル支局長が朴槿恵大統領に対する誹謗に当る名誉棄損罪に問われていたが、今日韓国のソウル中央地裁はこれに無罪の判決を下した。これまでの事実関係と経緯から考えれば、加藤氏のウェブサイトへのコラム書き込みが有罪というには、少々酷だと思っていた。外国記者協会も報道の自由を阻害するものだと問題視していた。そもそも記事のニュース・ソースは韓国のメディアが流した噂であり、韓国のメディアが何ら罪に問われず、それを受け売りした日本の記者が訴追されること自体おかしい。

 判決自体より私がちょっと気になったのは、公判冒頭裁判長が、韓国外交省が文書により日本側が善処を求めていることに配慮して欲しいと要請したきたことを明らかにしたことである。韓国側にどんな思惑があったのかは分からないが、仮にそれが無罪判決を導き出し産経側にとって有利に働いたとするなら、後々反って問題が残ると思う。他国の事象で日本に有利なことではあるが、韓国では行政が司法権を冒したという点で三権分立が機能していないわけで、それが今後別の事件で同じようなことがあると困ると思っている。

2015年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3138.2015年12月16日(水) 年賀状のシーズン来る。

 いくつか忘年会を済ませると少しずつ年の瀬が迫っていることを感じさせられる。先日海外の友人へクリスマス・カードを送ったところだが、昨日ミクロネシア連邦のフリッツ駐日大使夫妻からクリスマス・カードをいただいた。

 引き続き一昨日から年賀状を書き出している。昨日忘年会帰りに井の頭線渋谷駅で張り出された広告をカメラに収めている何人かの女性を見た。年賀状販売の広告である。今年はグループ「嵐」のメンバーをモデルにして郵便局が年賀状を出すようPRしていると知ったが、むしろ年賀状とは無関係に嵐の写真を撮っていたわけだ。それはともかく年々年賀状を書く人が減っているらしい。中には虚礼廃止だなどと意気込んでいる人がいたが、それはちょっと違うのではないかと思う。彼らは年賀状を書くことを面倒に思っている人で、こういう人は多分普段から手紙やハガキも、或いは文章を書くこともあまりしない人ではないかと思う。

 今年も例年通り600枚ばかり年賀状を買い込んだが、これをプリントして1人ひとり相手の顔を思い浮かべながら万年筆で住所を書くのは時間がかかるが、1年の行事の締め括りだと考えている。

 小学校時代の担任教師が美術に関心が深くて、年賀状の心構えについても丁寧に教えてくれ、更に版画について学び、爾来年賀状は長い間版画で仕上げていた。その当時から手書きで心を込めて書くよう指導された教えが今も頭の中にある。従って、年賀状に限らず手紙は相手に真摯に向かい合い、心を通じさせようとの願いを込めてじっくり書くことであり、今年の年賀状もそう考えながら書くつもりだ。

 今年も残すところあと半月となった。

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3137.2015年12月15日(火) 日本人若手スポーツマンの活躍

 最近の若手スポーツマン(ウーマン)の並はずれた活躍ぶりには、驚き感心させられることがある。この一両日のアイススケート・男子フィギュア・スケートの羽生結弦選手のグランプリ(GP)優勝とその高得点、及びバドミントン男女シングルの桃田賢斗選手と奥原希望選手のそれぞれの優勝である。

 羽生選手は2週間前のNHK杯で前人未到の不可能とされたトータル300点を上回る高得点を挙げたが、今回はそれを更に超える330.43点の過去最高得点で2位に圧倒的な差をつけて優勝した。

 一方、とかく地味なスポーツと言われるバドミントンでは、これまで日本人選手がメダルを獲得したことはなく注目を浴びることもなかった。だが、スーパーシリーズと称されるバドミントン界の年間トップ8によるファイナルで男女2人が予想を覆して優勝してしまったのである。2人はのびのびプレイしている点が良かったのではないか。地味なスポーツであっても、日本人の存在感が際立ってきたのは頼もしく嬉しいことである。

 3人が揃って20~21歳でまだまだノビシロがある。特に、羽生選手にはこれまで日本人が不利とされていた体格面で恵まれていて、バランスの良いスタイルであるうえに、研究心も旺盛のようで今年GP3連覇を遂げたが、まだまだ成長しそうな可能性を秘めており、今後の活躍が大いに期待される。

 さて、すったもんだしてケチがついた新国立競技場の新しい設計図2案が公表された。このうち最終的に1案を選ぶ。久しぶりに組織委員会会長の森喜朗さんも坊主頭で姿を見せたが、ついうっかりB案が良いと口を滑らし、馳文科相に諫められていたのはお愛嬌であろう。没とされたザハ案に比べて大分落ち着いて、神宮の森の中のスタジアムという観点から見れば、より馴染んでいると思う。今だからこそ言えることだが、どうしてあのような高価で場違いの新国立競技場建設案が受け入れられたのか、不思議である。

 今日はゼミの仲間と恒例の牡蠣料理のレストランで忘年会である。幸い日本経済新聞社から内定を得た恩師のお孫さんにも参加してもらい、内定祝いを兼ねた懇親会となった。彼も新聞記者一筋に1年間留年をしてまで初志貫徹した意欲には、我々全員が感心していた。その意欲を大いに買ってあげたいし、今後精進され活躍されるよう願っている。

2015年12月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3136.2015年12月14日(月) 政治がダメなら、メディアもダメか。

 昨日テレビ・ニュースがイエメンのアデンで州知事の車が爆破され、知事以下7人が死亡したと伝え、現場とアデンの光景を映していた。一瞬の映像では48年前にアデンを訪れた当時の様子はよく分からなかったが、やはりアデンには格別感銘深いものがある。

 現在アデンは首都サヌアに代わってイエメンの暫定首都となっている。元々国民の間で宗教と民族の対立が激しく、近隣諸国の介入もあって治安がかなり悪いようだ。大統領もどこへ姿を隠してしまったのか分からない行方が分からない状態である。そのためテロリストの格好の隠れ場となり、最近では悪名高いテロリスト集団「IS」の巣窟ともなって、外務省のHPには危険度「レベル4」と警告され、イエメン全土に「退避してください。渡航は止めてください」との「退避勧告」が出されている。もう彼の地を訪れてから半世紀近くなるが、あの頃独立闘争が民族間の内戦となり激しく戦った残骸があったが、独立を経て今度は別の角度から、却って国内に不安定な治安と混乱が押し寄せているような気がする。

 2年後に独立50周年記念行事が行われると考え、独立後最初に入国した日本人として、出来ればその時訪れてみたいと考えているが、どうもその願いは難しいようだ。

さて、国内では消費税軽減税率に中々決着がつかず、昨日漸く最終案が自民党と公明党の間で大筋においてまとまった。二転三転した挙句に食料品は、酒類と外食を2%消費増税して他の食料品はこのまま8%に据え置きと決まった。これで食料品関係だけで1兆円の税収が見込めなくなった。普通の投資なら財源をどう充てるかということは、事前に考えられて当然である。だが、政治家の話というのは、目先に選挙があるため、そこまで考えが及んでいない。結果的に1兆円の財源は、すぐには決められず先送りされることになった。

 それが今日になって食料品以外にも新聞を軽減税率の対象にすることを自民、公明両党の間でいとも簡単に取り決めてしまった。この話は噂には上がっていたが、かなり前に消滅していた筈である。これでまた手当する資金が必要になった。信念も哲学もない政治家の決着というのは、概して毎度こんな好い加減な落とし所で誤魔化している。メディアも自分らにとってメリットのあるこの実情を平板に伝えるだけで、強く抗議するとか、糾弾する姿勢が見られない。儲けものと考えているようだ。政治がダメなら、メディアも救いようがなくなった。新聞の軽減税率は政治サイドからの睡眠薬なのではないか。政治とメディアの体の好い談合ではないだろうかとつい勘ぐってしまう。まったくイイタマでお笑い種である。

 一方、パリで開かれていた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)では、新たな温暖化対策の世界的枠組みを決める「パリ協定」を漸く全会一致で採択して閉幕した。196カ国・地域が参加したこの会議では、温室効果ガスの削減を目指し、石炭や石油などの化石燃料に依存しない社会を目指すことになる。そうなると代替エネルギーとして次は何を開発し、利用しようというのだろうか。その辺りは宿題になっているようだが、これも我が軽減税率決定に伴う財源の先送りと同じようなものではないか。

 燃料用に石油と石炭を止めるとするなら、原子力と太陽光、地熱に目が向きがちであるが、太陽光や地下エネルギーは善しとしても、電力供給は原子力に頼るようになるのではないか。昨日インドから帰国した安倍首相はモディ首相との会談で、原発輸出を可能にする原子力協定の締結に原則合意した。

 昨日の日経新聞に大きな広告が掲載されていた。保守の論客、櫻井よしこ氏が理事長を務める「公益財団法人・国家基本問題研究所」の宣伝広告で「原子力政策を決めるのは政府です。規制委員会ではありません」と反核派の人たちや原子力規制委員会を牽制するアピールだった。原発再稼働、並びに原子力政策を積極的に進めよと声を上げたのだ。自民党1強多弱のなれのはてである。

2015年12月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3135.2015年12月13日(日) 兄の友人の著書・南極本

 兄の高校時代の友人である国立極地研究所名誉教授・神沼克伊さんから、私の近著「南太平洋の剛腕投手」と同じ現代書館から10月に出版された高著「白い大陸への挑戦」について東京新聞から取材されたと伺っていた。それが今日の同紙朝刊・読書欄「書く人」に掲載されていた。東京新聞は購読していないので、取り急ぎ近所のコンビニで買ってきた。書評だと思いこんでいたところ、神沼さんが著書について記者からインタビューされ、地球物理学の専門家として執筆した意図や、60年間の日本南極観測史、これからの南極調査への希望などについて応えておられる。縦4段で写真入りのかなり大きなスペースを割いて紹介してくれている。これならかなりの宣伝効果があるのではないだろうか。

 神沼さんが、南極における資源開発や領土が将来各国の奪い合いで競争になることを心配され、科学者全体に南極の富を守る姿勢を貫いて欲しいと言っておられる点で頷けるものがあった。

 現実的に現在南シナ海で中国が南沙諸島を自国領土として一方的に埋め立て工事を進めたり、ロシアが北極海底にロシア国旗を立てて北極海をロシア領と主張したり、各国とも領土拡張意欲はえげつないほど貪欲である。神沼さんが心配されているように南極でどこの国も勝手に自国領土を主張したら、熱い戦争ならぬ冷たい戦争が勃発し、収拾がつかなくなる。来年が南極探検60年という節目を迎えるに当り、神沼さんの提言はけだし至言だと思う。早く各国でルールを決めるべきだと思う。

 偶然ではないと思うが、この南極本の広告が他の書籍と一緒になって、出版社・現代書館によって今朝の朝日新聞一面最下段に掲載されていた。

 書籍自体は、極めて専門的な書であるが、その割にエピソードや例え話が多く紹介され、肩の凝らない読み物だと思う。理系の書籍は中々ベストセラーとは行かないようだが、それに一歩でも近づいてくれれば著者ならずとも私も嬉しい。

2015年12月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3134.2015年12月12日(土) アメリカ大統領レースでトランプ人気の危うさ

 来年のアメリカ大統領選挙を目指して民主、共和両党内の候補者指名権争いが加速している。民主党ではヒラリー・クリントン前国務長官が安定して戦い指名候補を獲得しそうであるが、野党の共和党内の争いが過熱している。父と兄が大統領で、当初は勢いのあったジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、完全に他の候補者の後塵を拝して6位にまで落ちた。その中で政治家としてはまったくの素人である1位の不動産王ドナルド・トランプ氏と2位の神経外科医ベン・カーソン氏が抜きん出ている。その中でトランプ氏があまりにも放言と過激な発言を繰り返すので顰蹙を買っていたが、ここへ来て「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国を拒否すべきだ」と発言して、世界中で物議を醸している。

 トランプ氏はこれまでも度々脱線発言や過激発言があったが、今度ばかりは偶々パリ同時テロに便乗してイスラム教徒を排斥しようとの意図ありと見られ、世界中から総スカンを食っている。近々アラブ・イスラム国と対立するイスラエルを訪問予定だったが、そのイスラエルのネタニヤフ首相からさえ発言は受け入れられないと反発された。また、イスラエル国会議員からトランプ氏との会談を中止するよう求められ、風当たりが強くなったトランプ氏は訪問を断念せざるを得なくなった。その他にも英仏を始め、アラブ諸国から訪問拒否の署名が集められるなど、トランプ外交は頓挫することになった。

 そもそもこれだけ内向き志向の右翼的発言を続ければ、必ず反対意見が出て撤回や修正を迫られるのが普通である。だが、トランプ氏は言いたい放題喋り続けて、それが却って一部の極右派からは支持されていた。それ自体少々異常である。

 大体トランプ氏の言葉と主張は棘が多過ぎる。アメリカ社会は移民によって出来上がったものではなかったのか。それにも拘わらず、建国の歴史を忘れ、いかにイスラム系民族が気に入らないにせよ移民を排除しようとアピールすることは不遜であり、アメリカ独立に貢献した初期の移民に対して失礼千万でもある。それが、どうして保守的なアメリカ人に受け入れられるようになったのか、不思議でならない。仮にトランプ氏が大統領に選出されるような奇跡が起きたら、アメリカ国民が世界中から非難を浴び、すべてにおいてアメリカ人の行動は厳しい眼で見られるようになるだろう。そして、ヨーロッパの一部の国でトランプ入国を拒否しようとの動きがあるくらいだから、アメリカ大統領が外国歴訪も出来ないなんてこともあり得る。

 そのトランプ氏はわが国や中国にとっても厄介な相手となる。特に誤解と事実誤認に基づく日本批判の激しい人物である。

 いずれにせよ他人のことを気にせず、言いたい放題のトランプ氏のような人物が大統領になったら、世界中にショックを与え、世界中が混乱するだろう。アメリカ人の良識を信頼して、このような人物がまさか大統領になんかはならないと信じてはいる。

2015年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com