6113.2024年5月17日(金) 選挙における言論・表現の自由の問題点

 昨日ブログに書いた広島県の1市長が7月に行われる東京都知事選に立候補を表明したことは、今日の朝刊にも取り上げられていた。出馬を表明したのは、広島県の石丸伸二・安芸高田市長である。ネットにも良しにつけ悪しきにつけ随分取り上げられている。この問題の前に関心が向いたのは、「市」という自治体についてである。市についてはある程度学んだのは、中高生当時だったが、市としての存立条件は、最低限人口3万人以上ということだった。それが、今では市町村合併、離合などの条件付きなら3万人以上であるが、通常は人口5万人が市を構成する最低条件と言われている。だが、この安芸高田市は現在2万6千人しか住んでいない。

 そしてもうひとつ疑念を抱いたのは、昨日のブログにも触れたが、自治体の首長選に立候補できるのは、その自治体に3か月以上以前から居住していることが条件である。さすれば、石丸市長は7月7日の都知事選投票日の3か月前に東京都内に住民票を移している筈である。そうすると、もうひとつ別の疑問が生まれる。昨日時点で市長は東京都民でなければならないが、そうだとすれば、市長任期中に安芸高田市民ではなくなり、これは信頼して市長に選んでくれた安芸高田市民を裏切ることにならないだろうかという懸念である。

 石丸市長については、ネットの声も姦しい。4年前に自民党の河井克行元法相による買収事件の際、前市長が収賄容疑で辞職した市長選において初当選したのだが、当時37歳の銀行員で清新な印象を与えた。だが、市議会議場で居眠りした議員に恥を知れと批判したり、ネットにいろいろ投稿して、一部では批判もあった。物事をはっきり述べたことが評価される反面、逆に対立を生んで功罪相半ばであるようだ。都知事選がどういうことになるのか現時点では不明だが、カイロ大学卒業という学歴詐称を抱えた小池知事が、どういう形で選挙に臨むのか、これも現状では不透明である。

 選挙と言えば、先日行われた3つの衆議院補欠選挙で、東京15区は自民党から誰も出馬せず、結局当選した立憲民主党の酒井菜摘氏、及び小池都知事の支援を得てかなり下馬評では有利と見られた乙武洋匡氏ら、ほとんどの立候補者に対して、露骨な妨害行為により公職選挙法違反で、「つばさの党」代表者と立候補した幹事長、運動員ら3人が逮捕された。テレビで選挙中の映像を観た限りでもあまりにもやり過ぎではないかと思っていた。つばさの党は、言論、及び表現の自由ということをしきりに述べているが、候補者の選挙演説を妨害するような大音量を拡声器から出して、候補者は話が出来ない状態にし、別の場所で選挙演説を行うべく車を移動させるとその後を追いかけて大きな音の音響で嫌がらせをしていた。これをつばさの党は、憲法上許された行為と言って反論していた。

 その呆れたつばさの党の言い分の根拠には、2019年参議院選挙の際北海道で、自民党候補者を当時の安倍元首相が応援演説した際、ヤジを飛ばした男女を警察が排除した案件があった。これが、表現の自由に抵触する行為であると裁判で主張し、現在控訴審まで進んでいる。だが、このヤジも酷いが、これは政治的な発言に対して聴衆がヤジを飛ばしたという事件で、拡声器を使用して候補者を追っかけ回すつばさの党の悪質な選挙妨害とは大分異なる。

 一般論として言えば、何でもやりたいこと、言いたいことをやってみるという傾向には良識が欠け、世の中の落ち着きのなさ、冷静さが失われてきたようで、寂しい気がしている。

2024年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6112.2024年5月16日(木) シャープの「世界の亀山モデル」転落

 今日から気持ちを新たに18年目のブログのスタートである。

 早々にあまりパッとしない話題だが、昨日の朝刊紙上にかつて日本の電機業界の顔でもあった「シャープ」が、TV用液晶パネルの生産から撤退するとのニュースが大きく取り上げられていた。シャープ電機と言えば、テレビ界でも革命児として知られ、2000年代にTVのブラウン管から液晶テレビへ切り替え、特に三重県亀山市のシャープ亀山工場は日本の電機業界の先端にいた。しかし、今世紀初頭一世を風靡し「世界の亀山モデル」とまで持て囃された液晶テレビも、次第に価格面で中国や韓国、台湾製に太刀打ちできなくなり、事業自体も赤字を余儀なくされ、挙句に会社は台湾の鴻海精密工業に買収された。今では、ディスプレイ産業は日本経済の「失われた30年」と自嘲的に言われている。

 実は、私自身この亀山とは、別の意味で不思議な因縁を体験したことがある。それは文部省の教員海外研修団でご一緒した三重県立亀山高校の校長先生から、今世紀初めに同高校生の韓国への海外修学旅行の説明会を開きたいので、高校生にとって海外旅行で留意すべき点について参考になる話をして欲しいと依頼され、お引き受けした。そこで名古屋市内に1泊の後JR亀山駅前でタクシーに乗り、ドライバーに「亀山高校へお願いします」と話した。ところが、初めての土地でもあり、まったく土地勘がなかったので、料金支払いの際、「ここが亀山高校ですね」と念を押したところ、彼もびっくりして「ここはシャープ亀山工場で亀山高校ではない」と応えた。彼は勘違いして「亀山高校」を「亀山工場」と間違えたと謝った。直ぐにそこから亀山高校へ再スタートすることになった。私の言い方が悪かったのか、その辺は何とも言えないが、ドライバーの立場では私が背広、ネクタイを身に付け、ビジネス・バッグを手に提げていたので、亀山工場へ向かうサラリーマンと早飲み込みし、深く考えることもなく亀山工場へ向かったのではないかと思う。その話を校長に話したところ、苦笑しておられた。そのままシャープが企業業績を伸ばしていれば、ジョークにしても冴えただろうが、シャープは今では「落ち目の三度笠」であまり笑える話ではない。だが、私には印象深い亀山詣でだった。

 さて、今日広島県安芸高田市の石丸伸二市長が、今年7月に行われる東京都知事選に出馬する意向を表明した。石丸市長は、4年前当時の市長が大規模買収事件で辞職して行われた市長選で、37歳の若さながら選挙戦を勝ち抜いたが、その後市議会やメディアと対立して何かと注目を集めた御仁である。任期切れを機に都知事選に立候補した理由として、「東京を変えて日本を変えたい。東京の一極集中から全国にわたる多極分散に向かう時が来ている」と語ったが、1期だけで市長を辞めるようでは、反って地方の他極分散政策にマイナスではないだろうか。言い分として「どうしても他にやらなければならないことがある」と述べたようだが、地元民はもちろん東京都民としてもどうもすんなり納得することが出来ない。

 また、立候補にはその自治体の市町村に3か月以上居住していることが条件だと思っているが、安芸高田市長がそれを知らないわけがないと思う。それより何より市長として4年間、やるべきことをやったのだろうか。一方で今のところ小池百合子都知事は、まだ態度を表明していないが、こちらももう任期は残り2か月である。出るなら出るともうはっきり表明すべきではないか。今日購入した文藝春秋6月号上の座談会では、相変わらず評判は頗る悪い。どうなる都知事選!

2024年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6111.2024年5月15日(水) ホームページを公開してちょうど17年

 昨日の本ブログに書いたように、「5.15事件の日」については、やはり私の知る限り今日どこのメディアからも取り上げられることはなかった。派手な話題として取り上げられたのは、今日も3本のヒットを打ち、リーグトップとなる12号本塁打を放ったドジャースの大谷翔平選手の活躍と、その大谷選手を騙して彼の銀行口座から約26億円を引きおろし違法賭博に使い込んだ元通訳が裁判所へ出頭したニュースである。

 一方で、転びかかっている自民党ではあるが、憲法改正を考え、防衛費予算を大幅に増額し、敵基地攻撃能力を備え、自衛隊の海外派遣まで考えているように右翼路線をひた走っている自民党に対して、右翼勢力が起こした5.15事件を報道するのは、メディアにとっては不都合だと考えているのだろうか。一般国民があまり5.15事件に関心を抱かなくなっている間に、自民党右翼勢力は着々と「第2次太平洋戦争」の準備に余念がないとでも言うべきであろうか。クワバラ クワバラ・・・。 

 さて、今日は「知の狩人 知の旅人」と僭越なタイトルを付けたHPを公開してからちょうど17年を迎えた。連続6111回である。明日から18年目に入るが、私も現在85歳の後期高齢者であることを考えると、これから先は年齢的にも少しきつくなるので、いつまで続けられるか定かではない。だが、書くことが精神安定剤でもあるので、健康に留意し心身ともに順調に書ける内は書いていきたいと考えている。当面は7,000回を一応の目標にしたい。昨日までにHPへのアクセス数は「364,127」となった。HP上の第1回ブログには、「念願だったHPを公開します」と題して、その日の気持ちを書いている。大きな決意とか、目標は掲げていない、ごく自然なスタートである。ただひとつ誇れることは、今日まで17年の長期間を1日たりとも休むことなく書き続けて来られたことである。この間執筆が難しい環境にいたこともあったし、海外旅行中で移動する難しい立場にいたこともあるが、ひたすら「継続は力なり」を信じて、中学生時代に日記を書き続けた体験から前向きに取り組んできた。まだ60代だった2007年5月15日の最初のブログを振り返ってみると、あの日は沖縄本土復帰35周年だった。その意味では今年は復帰52年になり、今日の新聞の隅っこにその記事が載っていたが、92年前の5.15事件は新聞のどこを探してもそれらしいことには触れられていない。また、私にとって2冊目の著書「停年オヤジの海外武者修行」の上梓の決意を固めた時でもある。

 あのころは、政治的には、今とあまり変わらず疑惑だらけだった政界では、現職大臣、松岡利勝・農水大臣が自殺して大騒ぎだった。相撲界で最多優勝回数を誇って昨年引退した大横綱白鵬が、横綱に昇進したのもこの年5月末だった。あの頃のブログにサラッと目を通して見ると、新聞沙汰となった大事小事が懐かしい。

 いまでは1日の生活の中でブログを書くことが習慣になり、時間的に大きなスペースを占めるようになった。老化現象に立ち向かうために肉体的には、毎日6千歩の目標を立ててウォーキングに取り組んでいるのと同様、精神面の老化防止のために考え考え拙い作文に頭を捻って思考力の減退防止に立ち向かっている。その点で、今では毎日あれこれ考えながらのブログ執筆が、日課となり生活にメリハリをつけ、ひとつの大きな張り合いでもあり、生きがいともなっている。自己研鑽でもあるブログを、これからも書き続けて友人たちが「まだ書いているのか」と呆れさせてみようかと思っている。

2024年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6110.2024年5月14日(火) 92年前の明日起きた5.15事件を忘れない。

 1878(明治11)年の今日、内務卿大久保利通が明治天皇に面会するため参上の途上で、待ち伏せしていた6人の男たちに馬車から引きずり降ろされ暗殺された。大久保は、幼いころからの盟友だった西郷隆盛を西南戦争で死に追いやったことから、不平士族の恨みを買っていた。6人の男は、旧石川県人で、加賀藩石川は規模が大きく政府は石川の勢力を削ぐ目的で、旧越前国を福井県に、旧越中国を富山県に分割したといわれている。そのかつては巨大だった石川県が、不幸にも今年正月早々能登半島地震で甚大な被害を被ったのは、何か不思議な縁を感じる。

 今世界中から注視、非難されているイスラエルが独立宣言を行い、イギリスの委任統治から新ユダヤ人国家として建設されたのは、1948年の今日5月14日である。そのような国家にとって大切な日に、ガザ地区で無抵抗なパレスチナ住民を引き続き攻撃している。これでは1国家として存在する意味がないではないだろうか。

 また、南米のパラグアイが宗主国スペインの手を離れて独立したのも、1811年の今日である。

 そして1932(昭和7)年の明日は、戦前の昭和の軍国主義が進行する中で、農村の貧困、政治の腐敗に怒った海軍青年将校らが右翼と手を組み、首相官邸を襲い犬養毅首相を惨殺した5.15事件が勃発した。以後政党内閣の時代が終わり政治は軍部によって奪われ、日本は軍国主義の道をひた走りに上り詰めて行った。

 ここで敢えて明日の5.15事件について取り上げたのは、近年この事件がメディアによって伝えられなくなり、触れることがなくなったからである。これは、同じように4年後陸軍青年将校が起こした2.26事件に比べても話題に上がることは少なくなった。2.26事件も中国への侵略の一歩となったクーデターであるが、日本の民主主義を躓かせた事件だった。軍部の力が強まり日本は軍国主義へ傾斜して、挙句に太平洋戦争へ飛び込むことになってしまった。これら青年将校らのひたむきな気持ちが思想的に問題あるにせよ、当時の政府が民主義的施策を講じておれば、軍国主義へこれほど傾くことはなかったと思える。

 現在中高生の日本史の教科書でどれほどこれらのクーデターが紹介されているかは分からないが、もし教科書で習うことがなければ、この事件は日本人の歴史から消えてしまうだろう。そしてそれは、敗戦を反省することなく過去の歴史を忘れるということであり、再び同じ道を歩む可能性がある。その意味では、メディアがこの事件を取り上げることなくやり過ごしているのは、これらの事件を反省することなく見逃しているということでもあり、ジャーナリズムとしては無責任であり、極めて危険なことである。

 太平洋戦争へ進んだ道筋には、これら2つの事件が大きなきっかけになった。それだけにこの92年も前の明日起きた5.15事件を知り、おさらいすることが必要である。それにしても、メディアというのはどうしてこのニュースを復習する意味でも、テレビや新聞で国民に知らせようとしないのだろうか。斬新なニュースバリューがないと考えるなら、それは現代のあまりにも恵まれた環境と境遇に浸り過ぎたが故に、臨場感的感覚が呆けてしまったとしか思えない。

 メディアは、世界各地で戦争のような残虐で衝撃的な事件ばかり追いかけて、過去における身近に起きた大切な歴史的痕跡と視点を見失っているように思える。もう少し身近の重大な出来事を反省しつつ掘り下げて考えてみることが必要ではないかと思う。

2024年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6109.2024年5月13日(月) 日本でもオーロラが・・・。宇宙に異変か?

 ここ数日日本国内ばかりでなく、欧米や、オーストラリア、ロシアでオーロラが見られたとメディアで大きく報道されている。太陽が一度に何か所かで爆発していくつかのフレア(炎)が生まれたことに原因があるようだ。地球上にも電波障害があったらしい。世界中で北極圏でしか見られなかった幻想的なオーロラが、世界各地で見られたということから世界的に大きな話題となった。これがオーロラのようなロマンチックな現象だけならともかく、今後電波障害の他にも地球上で自然現象による災害が発生することが懸念される。実際に今年に入ってから世界各地で自然災害が発生している。元旦の能登半島地震をはじめ、この数日、アフガニスタンの地震や洪水の他に、ブラジルでも南部リオグランデドスル州の州都ポルトアレグレ近くの湖が氾濫し、ブラジル史上最悪と言われる120人以上が亡くなる水害が起きた。二酸化炭素排出による地球温暖化現象以外にも地球を破滅させる要因が明かされて来た。そんな時に好き好んで人殺し戦争をやる愚かな政治家どもの頭はどうかしている。

 日本の政治家も私利私欲が絡んだ無責任な言動を冒していながら、彼らが解決しようとしている裏金問題でさえ未だに解決のメドが立たない。自らの頭の蠅を追えない政治家の質の低下には、世襲政治家が多いこともひとつの大きな原因だと考えている。ところが、政界では世襲政治家を減らすどころか、安易に増やそうとしているからつける薬が見つからない。

 裏金を一番多く手にして詳細を明かさず、税金もびた一文収めようとしない「裏金の権化」、二階俊博・元自民党幹事長が次期総選挙には立たず、れっきとした世襲の3男を立候補させるようだ。そして同じく衆院徳島1区には、三木武夫元首相の孫が立候補する予定である。ところが、世襲議員と言えば、これまで自民党員に限られていたが、このお孫さんを立憲民主党が公認候補として擁立するという。

 4月に行われた衆院補選島根1区で当選した亀井亜紀子議員は、父親が自民党員で元国土庁長官を務めた。長崎3区で当選した山田勝彦も父親が元農水大臣だった。ともにいわゆる二世議員である。いずれも父親は、自民党員だったが、この2人は立憲民主党員である。自民党の世襲を批判していた立憲民主党が、ここへ来て恥も外聞もなく自ら世襲議員を「造成」するとは、呆れて物も言えない。政治の世界では、なりふり構わず行動し、物事の区別や、善悪の区別がつかなくなっているのではないだろうか。こうなるといよいよ政治は真っ暗闇で期待は益々持てなくなる。情けない限りである。

 さて、でたらめな政治家集団とは別の話題だが、こんな記事が目についた。月刊「選択」2023年12月号の「情報カプセル」欄に、外務省が呼びかける国内シンクタンクの支援プロジェクトの補助金公募で、今年度は東大先端科学技術研究センターのウクライナ問題関連プロジェクトが、3年分7億5千万円をすべて受け取ることに決まり、他大学に大きな衝撃を与えたという。その記事が、当のプロジェクトを主導した池内恵・東大先端科学技術研究センター教授の心胆を寒からしめたのか、同教授が選択出版社を名誉棄損で唐突に訴えたという。しかも、同社が首を傾げているのは、事前に教授から裁判について一切の通知がなく、裁判所に「住所秘匿決定」を申し出て訴状に教授の住所記載もなく、住所不明にしている点である。

 池内家と言えば、教授の父親は、ドイツ文学で知られた池内紀、叔父は天文学者の池内了でその筋では学者一家として広く知られている。補助金を受給するのは、教授個人ではなく研究センターであるのに、教授自身あまりの怒りで興奮したのだろうか、教授が個人的に訴えたという。政治家とは別の意味で学者も世間知らずだということを晒したようなものである。学者も世間知らずの人が多いが、その意味では学者も判断力は政治家並みになったとも言える。もちろん「選択」は受けて立つと言う。どういうことになるだろうか。興味深い。その結果を知りたいものである。

2024年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6108.2024年5月12日(日) 休戦を避けようとする狡猾なイスラエル

 パレスチナ・ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃は容赦なく、停戦交渉お構いなしに続けられている。漸く停戦交渉がまとまりそうな空気の中で、ガザ地区ラファのパレスチナ人たちは、「神に感謝する」などと喜びを口にしていたが、そうは問屋が卸さなかった。イスラエル軍は情け容赦なく攻撃を続け、多くの死傷者を出した。どうして和平交渉中にこれほど露骨で無慈悲な戦闘を行うのか、イスラエル軍の攻撃には世界中から非難が浴びせられている。流石に最大の支援国アメリカも武器の供与には二の足を踏んでいる。

 10日国連は緊急特別会合を開き、パレスチナの国連加盟を支持する決議案の採択を行い、日本やフランスなど143か国の賛成多数で採択した。イギリスなど25か国は棄権し、イスラエルやアメリカなど9か国が反対した。本提案が決議されたことに対して、イスラエルの国連大使は強く異議を唱え、国連会合の場で国連憲章コピーを小型シュレッダーで破り、「恥を知れ!」という捨て台詞を吐いた。

 実は、先月も同じ内容の採択を行い、同じように承認の結果に終わったが、常任理事国アメリカが拒否権を行使して採決は否決された。国連への正式な加盟を決定する権限は、安全保障理事会にだけ与えられている。従って、10日に賛成されたパレスチナ国連加盟が承認されるかどうかは、安保理5大常任理事会において5か国すべてが、ただの1国も否決しなければ承認される。ただ、これまでの経緯を見てみれば、本件に関してはアメリカが拒否権を行使するのは、充分予想できる。

 但し、アメリカはパレスチナが国連を通じてではなく、当事者間の直接交渉によって国家承認を追求するべきであるとの見解を示している。こんな話がまとまるわけはない。流石のアメリカもいつまでもイスラエルの支援国という加盟賛成国の冷たい目の負担に耐え切れなくて、逃げていたいというのが本音のようだ。

 さて、パレスチナ地区における人災に比べて、7日にイランと国境を接するアフガニスタン西部を襲った激しい地震は防ぎようがなかったようだ。2021年8月にアメリカ軍が撤収して以来イスラム主義組織タリバン政権が権力を掌握しているこの国では、全く事後の支援態勢などの対応が追い付いていないようだ。すでに2千人以上が死亡し、負傷者は9千人余りに達している。アラブ系住民が住むこの地方特有のレンガ造りの家屋には支柱はなく、多くの家屋が倒壊した。損壊した住宅は1,300棟以上に上るという。

 更に3日後の10日、アフガニスタン北部では大雨による洪水が発生し、130人以上が死亡した。貧しいタリバン政権が被災住民を手厚く支援するのは難しいのではないかと心配されている。

 前者は、意図的な殺人行為であるが、後者は自然災害による災難である。後者を防止することは、現状では難しい。だが、前者の戦争ごっこは支配者の考えひとつで、止めることは出来る。それをしようとしないのは、イスラエル政府の「ハマス憎し」の頑固一徹さと、アメリカ国内でユダヤ人の財政的支援を期待するアメリカ国会議員の支えがあるからである。

 ところで、昨日ブログに取り上げた大相撲は、今日夏場所初日を迎えたが、早々に珍しいことがあった。大関戦4番勝負は、すべて大関が負けた挙句に、結びの一番で横綱照ノ富士も敗れるという大番狂わせの幕開けとなった。さぁ、今場所は吉と出るか、凶と出るか?

2024年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6107.2024年5月11日(土) 地方自治体の不祥事と大相撲界の不安

 大分次元の低い話で少々憚られるが、このところ自治体首長らによるセクハラ・パワハラがメディアで伝えられ、うんざりさせられる。地方の首長はこんなことしか話題になることがないのかと呆れかえるばかりだ。岐阜県美濃加茂市議会の副議長が、姉妹都市オーストラリア・ダボ市の市長を迎えた歓迎式典パーティ後に、カラオケで市長の娘に対して、下半身にマイクを近づけたとする国辱的で不適切な行動について、美濃加茂市長がダボ市長へ宛てて謝罪のメールを送信し、市長から了解してもらったと報道があった。当人はあれこれジェスチャーを交えてそのような気持ちは一切ないと言い訳をしていたが、我々外部の人間にとっても日本人の破廉恥な行動を曝け出されたような恥ずかしい気持ちになる。

 他にも行為自体は別物だが、先日退任した川勝平太・前静岡県知事のように、退職金は辞退するときっぱり言っていながら、ちゃっかり2千9百万円の退職金を受け取っていたことが分かった。きれいごとを言ったつもりであろうか、長年知事という要職を務めて退職金を受け取る権利はあるので、受け取ること自体をとやかく言うつもりはない。しかし、それなら辞任会見の場で、退職金辞退などと心にもないようなきれいごとを言わなければ好い。とにかくお役人というのは、言った言葉の裏にはウソが隠されているような不信感が拭えない。

 偶々であろうが、この東海地方の近隣自治体には、最近同じような事件が頻発している。これらを取り上げて、先日の朝日夕刊「素粒子」欄に皮肉を交えてスキャンダル連鎖がこんな風に書かれていた。

 「地図で見る。美濃加茂市から時計回りに岐南町、池田町。お隣愛知の東郷町。軒並みセクハラ、パワハラで知名度を上げ。◇ 呆れる代わりに他山の石に。男性中心の組織。人事の硬直化。異論言えぬ空気。『裸の王様』は、どこにも生まれうる。◇ ~」。

 こんなことばかりやっているようでは、地方都市も行き詰まることだろう。翻って東京都だって必ずしも小池知事に全幅の信頼を置いているわけではない。小池知事は、女性知事であるので、セクハラ、パワハラのような破廉恥な行動を冒す可能性は薄いが、学歴詐称をしたり、お金をどこへ使ってしまうのか分からない案件が目立つことと、都民や多くの人びとから反対される事象に説明がなく強引に押し通してしまうところが強引だと思っている。

 そこで、気分転換に別に他愛ない話題をひとつ。明日から大相撲夏場所が始まるが、このところ相撲界周辺からトラブルがしばしば聞こえてくる。30年以上も前の若貴ブームはどこへやら、その後の八百長問題発覚により、部屋、親方、力士が処分を受けたり、最近も弟弟子に暴力を働いていたとして兄弟子が破門されたり、その行為を知りながら黙認していたとして親方が協会内の地位を格下げされたり、不祥事が相次いだ。そこへこれはトラブルではないが、先場所新入幕で110年ぶりに初優勝を飾った尊富士関が、優勝直後の夏場所をケガで休場する残念な事態となってしまった。ともかくあまり明るいニュースが聞かれない相撲界には、近年新弟子検査を受けて入門する若者の数が少なくなっている。

 相撲界にお相撲さんがいなくなっては、お仕舞である。そこで相撲協会もこれまで厳しかった入門の条件のひとつである「体格基準」を止めることにした。1992年には、新弟子が223人もいたが、昨年は53人まで減ってしまった。そのため相撲協会はハードルのひとつである体格検査を中止すると決めたものである。10年前までは体格は、身長173cm、体重75㎏以上が入門の最低条件だったが、近年は身長165cm以上にまで段階的に条件を緩和してきた。それも遂に取り払うことになった。これにより入門者が増え、相撲界がかつてのような繁栄を謳歌することが出来るだろうか。明日から別の意味で大相撲TV観戦を楽しみにしたいと思っている。

2024年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6106.2024年5月10日(金) 結婚55周年、エメラルド婚を迎えた。

 55年前の今日私たち夫婦は、ホテル・ニューオータニで結婚式を挙げた。あれからもう55年にもなる。本当に時の経つのは早いものである。5年前に迎えた結婚50周年は「金婚式」と呼ばれるが、結婚55周年は、俗に「エメラルド婚」と言われている。私たちはいわゆるお見合い結婚だった。お仲人さんの奥様が私の母親と女学校時代の親友だったご縁で家族同士が親しく、お仲人さんと私の父が飲み友達で、お仲人さんと妻の父親が同じ会社で役員同士の間柄だったこともあり、仲を取り持っていただいた。結婚式の翌朝羽田空港からバンコックへ旅行前に旅先の手配を一切しない武者修行のような新婚旅行に旅立った。現地タイからマレーシアのペナンへ飛ぶ当日朝に空港へ来てからマレーシア国内でマレー人と中国人の民族間の対立から暴動が起きマレーシア全土に戒厳令が布かれ、マレーシア国内の空港は全面閉鎖となったと知らされ目的地ペナンへ行けなくなった。急遽目的先をタイ国内のチェンマイへ変更して新婚早々穏やかならぬ新生活のスタートとなってしまった。幸い新婚旅行から帰ってからは生活は順調で、大きな波乱もなく2人の息子と、今では5人の孫に恵まれ、気ままに執筆活動をしながら幸せな余生を送っている。

 今日は、先日紹介してもらったフランス料理店で、妻と祝杯を挙げようと考えたが、2月に鑑賞予定だった若手4人組「歌声カルテット」のコンサートが、今日に延期されたので、会場「玉川せせらぎホール」へ出かけた。昭和の「懐メロ」と銘打ち、昭和の童謡から歌謡曲の名曲を聴かせてくれた。どうやら私も古臭い昭和人爺さんになったようで、昔よく聞いた歌謡曲が忘れられない。カルテットといっても、ピアニストとバイオリニストを含んだグループで、歌ったのは、芸大出のテノールとバリトンの2人だった。しかし、流石に芸大OBだけあって、その声量とテクニックには感動した。特に、伊藤久男の♪イヨマンテの夜♪の雄たけびのような出だしが素晴らしく感動した。とにかく今日は朝から快晴に恵まれ、気持ちよく結婚55周年を祝い楽しむことが出来た。

 さて、今日5月10日は、人種差別主義反対を唱えアパルトヘイトを排除した南アフリカの初代大統領ネルソン・マンデラ氏が初めて投票所で投票してから、ちょうど30年目の日だそうである。その年1994年にマンデラ大統領は、ノーベル平和賞を授与された。その南アフリカは私にとっても忘れられない国である。その2年前のGWに偶々ステンレス視察団のお供で南アフリカの鉱山を訪問した他に、世界3大滝のビクトリア瀑布などを観光した。マンデラ大統領は、差別撤廃の活動の過程で27年間も収監されたが、ひとりひとりの1票が世の中を大きく変えると信じて、いかに小さな選挙でも清き1票を投じるために投票所へ足を運んだと言われている。亡くなっても死後の世界から投票所へ行くと言っていたほど、1票の選挙投票権の大切さを訴えていた。そのマンデラ大統領も11年前にこの世を去ったが、日本から皇太子(現天皇)と福田康夫元首相が、追悼式参列のため南アフリカを訪問された。

 このマンデラ大統領が実践した民主主義の基本的な個人の権利である1票を投じる行動を、最近の各種選挙の投票率の低下傾向を思うにつけ、我々日本人も大統領の考えを謙虚に学ばなければいけないと思っている。

2024年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6105.2024年5月9日(木) 企業にとって好決算、ロシアには戦勝記念日

 日本経済の停滞が、円安の元凶とまで言われているが、昨日トヨタ自動車が同社の2023年度決算を発表した。過去最高の好決算で、売上高45兆円、営業利益は5兆3,529億円、純利益は4兆9,499億円となり、純利益はこれまでの最高だった2年前のソフトバンクグループ企業が出した4兆9,879億円に次ぐものだった。今では円安が企業経営の足を引っ張っているとマイナス・イメージで語られるが、トヨタはその円安を輸出を伸ばすことにより、経営に貢献した。流石に2匹目のドジョウは捕獲が難しいと見たのか、今年度は大分控え目に純利益を27.8%も下げた3兆5,700億円を見込んでいる。欧米市場で、電気自動車(EV)の販売に減速傾向が見られたので、ハイブリット車(HV)に重点を移した販売政策がヒットしたようだ。同じように輸出産業企業には、トヨタの成功例をヒントに輸出に目を向けて欲しいものである。

 企業各社の23年度決算が次々公表されているが、大手商社5社(三井物産、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、住友商事)の決算も出揃った。各社とも過去最高益に近い決算を保ったようだ。とりわけ三井物産が24年ぶりに首位となった点が注目される。コロナ禍で鬱積した気持ちをすっきりさせる点で、ややスケールは小さいとは言え観光業も回復の兆しを見せており、民間企業のこれからの復興を願って止まない。

 ついては、損保業界が企業向けの保険契約で価格調整をしていた疑いで、公正取引委員会が立ち入り調査を行って今一つパッとしない中で、損害保険大手4社が今年10月から揃って保険料を1割値上げするという。そう言えば最近住宅地のみならず山林火災なども頻発し、地域住民が避難するような事態がしばしば報道されている。最近山形県南陽市で起きた山火事なぞは、山中で消火作業が思いのままに進めることが出来ず、自衛隊や県の防災ヘリなど4機が空から消火活動を行ったが鎮火に至らず、4日間経過して一昨日漸く火を消し止めることが出来た。

 保険会社の言い分では、近年台風や豪雨などの被害が相次ぎ、保険金の支払いが増えている。ただ、火災保険の値上げは、19年以降これが4回目で、この5年間の負担は4割も増えている。これから生きていくのは、中々難しくなったと実感している。

 ところで、日本の外では今日はロシアの第2次世界大戦戦勝記念日だ。モスクワの「赤の広場」では小雪が降る中で記念式典が開かれた。9千人の兵士からなる軍事パレードに引き続き、一昨日通算5期目の任期をスタートさせたばかりのオーバーコート姿のプーチン大統領が演説を行った。演説の要旨は、地球規模の対立を避けるために「すべてのことをする」と述べ、ロシアを脅すことは許さないと強調し、一番警戒すべき核兵器の使用については、常に即応体制にあると語った。明らかにウクライナや欧米をけん制した発言である。ただ、軍事パレードに登場した兵器の数は、昨年より大分減り、ウクライナとの戦闘が続く中で、規模を減らさざるを得ない環境にあるようだ。どうも世界に争いと脅しを振りかざすロシアの恫喝的な言動には困ったものである。

2024年5月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6104.2024年5月8日(水) 世界中の嫌われ者、ネタニヤフとプーチン

 このところイスラエルとパレスチナの休戦交渉が、アラブの仲裁国やアメリカのイスラエルへの圧力的アドバイスにより、難問を孕みながらも進捗しているように見える。その最中にイスラエル軍は120万人が身を寄せているガザ地区の最南端ラファへ地上部隊の一部が限定的ながら作戦を開始してラファ検問所のガザ地区を掌握したと発表した。

 相変わらず強気一点張りのネタニヤフ・イスラエル首相だが、この作戦も人質解放とハマスの殲滅という目的のために欠かせないと言い張っており、これではまったく交渉の余地もない感じである。イスラエル政府は、一昨日アラブ系のメディア「アルジャジーラ」のイスラエル支局を強制的に閉鎖させた。ハマスは、ラファ検問所への攻撃は停戦と人質解放を妨げるとイスラエルを非難している。この緊張状態に国連のグテーレス事務総長も、「事態は誤った方向に進んでいる。ラファへの攻撃は戦略上の誤りであり、人道的悪夢だ」と思案投げ首である。イスラエルのあまりにも強引な戦略に頭を痛めているアメリカのバイデン政権も、これまで一貫してイスラエルへの軍事支援を続けてきたが、ガザ地区での民間人犠牲の拡大に国内外から批判が強まる中で、イスラエルへの弾薬の輸送を一部停止すると発表した。

 さて、パレスチナへのイスラエル軍の攻撃とともに、世界中から懸念されているウクライナへのロシア軍の攻撃も一向に縮小される見通しはない。そんな中で、昨日首都モスクワのクレムリンで、プーチン大統領の通算5期目となるロシア大統領就任式が行われた。これによりプーチン大統領は、77歳になるまでの2030年まで大統領の座に居座ることになった。これで世界中がまた当分嫌な空気を吸うことになる。ロシア政府は、これを無理に国内行事と見做し、「外国の首脳には招待状を送らず、友好国や非友好国を含めロシアに駐在するすべての外交公館長を招待した」と公表した。アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本、EU加盟国、韓国など非友好国からは、誰も出席しない予定だったが、どういうわけだか、非友好国のひとつ、韓国のロシア駐在大使がこれに出席した。これに喜んだのか、駐韓ロシア大使は韓国について、「非友好国の中で最も友好的な国」とお世辞を述べ虚偽に惑わされた大統領就任式となった。

 そのロシアがウクライナへ向けて発射した北朝鮮製ミサイルに、日本の大手メーカーの部品が使われた可能性があると一部に報道された。朝日新聞記者が、ウクライナで国防省が保管する北朝鮮製とされるミサイルの残骸を見てみると、ミサイル側面のベアリングに「JAPAN」と文字が刻まれ、大手メーカーの社名と型番も刻まれていたと言う。そこで、記者がその日本メーカーに確認したところ、本物の製品とは異なる内容の刻印がされているということで「偽物」と判明した。北朝鮮には、国連安保理事会決議で制裁が科せられ、加盟国はミサイルに使用されるような物資の輸出が禁じられており、日本も輸出を禁じている。偽物を組み合わせて製品を作っても質は落ちるだろうに、どうしてこんなことが出来るのだろうか。寄せ集めで商品を完成させる金正恩総書記のスーパーパワーの成せる技であろうか。

2024年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com