6133.2024年6月6日(木) AIの進歩は文章力を低下、人を低能化させる。

 今朝の新聞記事には少々驚かされた。今しきりにその効用と同時に弊害も指摘されているAIによる文章作成である。自分の頭で考えるのではなく、AI頼りの文章作成である。これが小中高生の作文にも使われているらしく、昨年度の「青少年読書感想文全国コンクール」には明らかにAIを使用して書かれた作文が複数寄せられたというからショックである。幼児期における作文とは、これから成長する過程で文章作りの基礎を固め、その後文章力を向上させる重要な時期である。それが幼いころから頭脳を使わず、身近にあるAIを手軽に使用するようでは、大人になって文章力が身に付く筈がない。コンクールの主宰者が懸念しているように、これには身近に生徒たちと接触して作文の様子を知っている先生や家族が気が付きそうなものだが、現実には先生にも判断出来ず、見抜くのは難しいと思案投げ首のようだ。今後AI技術が更に進歩したら見抜くのは一層困難になると思う。

 昔から幼児の初等教育にとって基本的に大事なことは、「読み、書き、ソロバン」と言われているように、子どもたちの初等教育は、幼いころから彼らが本を読み、自分の頭で考えて文を書くということに尽きると思う。

 近年大学生の卒業論文などもチャットGPTなどを使って書く学生が増えたと、大学関係者が頭を痛めているとのニュースを聞いて驚いたことがある。我々の学生時代は、書き上げた論文を教授と1対1で向き合い、その理論的根拠や表現など内容をじっくり議論し、話し合って、教授からアドバイスをいただきながら文章を修正しつつ、まとめたものである。私の卒業論文は、やや硬い「河上肇論」というものだったが、河上の書籍を何冊も読み込み、ある程度河上の考え方を知ったうえで、卒論として書き上げた。決して自慢できるような卒論ではなかったが、私なりの思想、視点と論調から、私でなければ書けない独自なものだったと幾分自負しており、一応自分なりに納得することは出来た。これで学生時代の大きなノルマは何とか果たすことが出来たと思っている。

 ところが、AIが一気に小学生レベルにまで進出してきたら、子どもたちは自らの頭で考えて自分で文章を作成することが出来ず、作文することが出来ないまま大人になってしまう。大人になってもまともな手紙すら書けないのではないだろうか。国民的低能化現象にもなりかねず、恐ろしいことでもある。しかも今後ハイレベルのAIが開発されたら、作文も出来ず、組織内でも必要とされなくなり、社会的にも存在感が希薄になる。同時に、社会が格別優秀な人材を必要としなくなるのではないかと憂うる。

 その一方で、文章がAIによって作成されたものであるか否かを判定するツールも、まだ道半ばながら開発されつつあるようだ。だが、いずれイタチごっこになるのは明白である。地球上で多額の投資をして人間の頭脳を錆びつかせる技術を競うなんて宇宙の他の衛星から見たら、笑いものにされるのではないだろうか。

 確かに時代がこの傾向を受け入れるようになったという背景はあるが、安易に頭を使わない手段を選ぶようになると、いずれ人間社会は崩壊の道を辿るようになるのではないかと心配である。

2024年6月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6132.2024年6月5日(水) 長かったインドの総選挙、モディ首相3期目へ

 インドの「世界最大の選挙」と言われる大型総選挙に、漸く決着が付いたようである。なにせ広大な国土に9億7千万人もの有権者がいるので、選挙自体に時間がかかる。昨日一斉に開票し、モディ首相の与党インド人民党はかなり票を減らしたが、先ずは与党連合として過半数の議席を維持したので、引き続きモディ首相が3期目の首相となる。但し、与党議席は前回より大分減らして厳しい政権運営になる。国内には物価の上昇、若者の失業率の高さなど難問を抱え、イスラム教徒などとの共存も思うように行かず危なっかしい。

 インドは近年人口増により昨年中国を抜いて世界1の人口を抱えるようになった。それに歩調を合わせるように、海外資本を受け入れるなどして国内経済発展に力を入れ、国内総生産(GDP)は、2025年には22年にドイツに追い抜かれ3位から4位に転落した日本を追い抜くと見られている。27年には3位のドイツをも追い越して中国、アメリカに次いで世界3位になると予想されている。途上国だった国が急速に経済的に成長を遂げると、それに伴い国内に難しい問題がいくつも発生する。国際NGOオックスファムは、インドについて、「人口の1%がインドの富の4割を保有している」と公表し、同時に人口の2億3千万人弱が貧困層として暮らしている現状に、格差是正のための富裕層への課税強化を実行出来るか否かが問われていると提言した。インドにとって経済発展の恩恵を国民が等しく受けることが出来るかどうかが、今後インドが成長への大きな課題となるであろう。

 インドに引き比べて日本の経済成長はあまり捗々しいとは言えない。その原因として考えられるのは、専門家は設備投資と技術進歩の停滞があると述べているが、最大の原因は少子高齢化現象にあると思う。少子高齢化が少しでも是正されないなら経済発展のキーである若年労働者の不足や、設備投資と技術の進歩について死にもの狂いで向き合わないと、かつて世界を驚嘆させた戦後の経済発展を遂げた日本は取り残されていくのではないかと些か気がかりである。

 国内経済の停滞もさることながら、日本は政治の劣化が夥しい。あまりにも低レベルの政治にはうんざりする。今の日本が経済的に停滞しているのは、国会議員をはじめ多くの政治家の責任でもあると思う。今政府と野党の間で政治改革を巡るやり取りが行われているが、その中心が政治資金規正法改正案を巡る話し合いで、与野党が合意していた筈の衆議院採決が一夜にして先送りされた。特に、自民党と公明党、日本維新の会の駆け引きがまるで猿芝居である。よくぞこんな低レベルの騙し合いが出来るものだ。岸田首相が当初自民党内の批判を覚悟のうえで、公明と維新に妥協した。それが自党内で反発が大きく、維新の要望を受け入れないとした。これに維新は烈火の如く怒り、今や国会どころか政党間の局地戦に発展し、それを立憲民主党がはやし立てている有様である。まったく国民の声を無視して勢力争いをやっているのだから、手に負えない。これが今の低レベル政治家の実態なのである。それでも何とか同法案は衆議院特別委員会で可決された。しかし、パーティー券を購入した人の公開基準額を現行の20万円超から5万円超に引き下げ、政策活動費のすべての支出を対象に、領収書などを「10年後」に公開としたようだが、なぜ発生時点で領収書公開が出来ないのか。疚しい点がたくさんあるからであり、10年後では議員当人があの世で健在かも知れない。馬鹿々々しいにもほどがある。

 こう言ってはどうしようもないが、今の国会議員は私利私欲に駆られて国会で遊んでいるだけで、国家、国民のことなんてまったく考えていない。

 そこで熱くなった頭を冷やすために、今朝の朝日「天声人語」の冒頭文を紹介しよう。「JR大和路線の路線図をじっと見る。奈良駅の一つ先―おお本当だ。郡山、大和小泉、法隆寺、王子(、)三郷、河内堅上(かわちかたがみ)。お気づきだろうか。連なる駅の名で五七五七七になる。日常のなかに隠れたリズムの楽しさだろう~」

2024年6月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6131.2024年6月4日(火) 今日この日に想う天安門事件と加藤隼戦闘隊

 今日6月4日は、私にとって2つの事象が忘れられない。ひとつは、35年前に中国・北京で起きた天安門事件である。共産党1党独裁国家の中国が、自由と民主化を求める学生らを武力で鎮圧し、多数の死傷者を出した。国民の間にはかなり以前から不満が充満していた。この日それに共鳴し同調した学生らを主に若者層が北京の天安門広場に集合して集会を行っていた。そこへ軍部が強引に戦車で乗り込み市民や学生らに対して発砲するなど鎮圧し、多くの犠牲者を生んだのである。中国政府の公式発表では、死者319人と伝えられたが、実際には遥かに多くの犠牲者が出て、一部にはその数は1万人を超えたとも言われている。

 その後犠牲者の母親を主に遺族たちのグループ「天安門の母」が、度々中国政府に対して犠牲者の名前と人数の公表、犠牲者と遺族への賠償、そして事件の法的責任の追及を求めているが、中国政府は、政府としてすでに明確な結論を出し、遺族らが求める真相の究明は必要ないと昨日冷徹なコメントを出している。中国国内では事件自体がタブー視され、近年の若者たちはこの事件についてはほとんど知らないという。秘密国家中国の怖いところである。

 気になるのは、これほど人権弾圧の大悲劇を、日本のメディア、特に新聞がほとんど報道しなかったことである。リベラルな朝日ですら今日の朝刊には、天安門事件には1行も触れられていない。僅かに1日夕刻に日本在住の中国人が新宿駅南口に集まり追悼イベントを行ったことを朝日デジタルが伝えた程度である。漸く夕刻近くなってテレビ・ニュースで報道する有様である。これでは、普段ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエル軍のガザ地区攻撃を人道問題だとして厳しく追及していた立場とは整合性がなく、ダブルスタンダードと批判されかねないのではないかと思う。時が経てば忘れられるということでは、太平洋戦争の悲劇や、広島・長崎原爆投下もいずれ忘れられてしまうということを暗示しているようなものではないか。

 さて、もうひとつの忘れられないこととは、今日の日付を名付けた「六四会」の活動である。これは太平洋戦争時の陸軍航空第五飛行師団・飛行第64戦隊、通称「加藤隼戦闘隊」の戦友会の名称である。1970年に「六四会」の方々を紹介され、慰霊団企画を要請されて交渉のため旅行インフラがまったく未整備だった当時のビルマ(現ミヤンマー)へ下見調査に出かけ、72年1月「第1回加藤隼戦闘隊ビルマ戦跡巡拝慰霊団」を結成して、22名の「六四会」の方々とご一緒したことが長いお付き合いの始まりである。

 「六四会」は毎年6月4日に、靖国神社にお参りして戦争中に戦死された仲間を慰霊するのが恒例で、全国から数多くの戦友が集合して慰霊祭と、その後に「六四会」親睦会を開催するしきたりだった。A級戦犯を弔った靖国神社へ参拝したこととは関係なく、飛行第64戦隊戦没者の霊を敬い、慕う思い出の会で72年以降私も毎年出席し、それは「六四会」が解散するまで続いた。最後の「六四会」では、どこまで本気か、「また戦うようなことがあったらその時も一緒に戦おう」とそれぞれ肩を抱き合い涙を流し、永久に別れて行った光景が忘れられない。戦争を知らない人たちが、無暗に好戦的になり再軍備を是とする傾向になり勝ちであるが、厳しい戦争を生々しく体験し、仲間を喪いながらも戦争には絶対反対という、命からがら戦地から復員した戦友会の方々の言い分は重い説得力があった。

 今日は、改めて戦争反対を誓う1日である。

2024年6月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6130.2024年6月3日(月) 男性優位のメキシコに初の女性大統領誕生

 今朝6時半ごろ枕元のスマホがけたたましく鳴り、「緊急地震速報! 強い揺れに備えて下さい!」と突然注意を呼び掛ける大きな音声が聞こえた。慌てて飛び起きた。皆びっくりしたようで、今日の朝日夕刊「素粒子」に次のように書かれた。「早朝の都心駅ホーム。数百人の手元で一斉に鳴り出す緊急地震速報のこだま。人々の目が宙を泳ぎ、スマホに戻っていく」。

 どこで地震が発生したのだろうかと思っていたところ、震源地は、石川県珠洲市、輪島市で最大震度5強、M5.9だった。元旦の能登半島地震以来度々余震があったが、今また大きな地震に見舞われた。気象庁は、今後1週間は同じ程度の揺れに注視するよう呼びかけた。幸い格別大きな被害があったという報告は現時点ではない。

 とかく一言多い弁護士の橋下徹氏が、テレビ出演して元大阪府知事だった経験から地震発生に備えて私見を述べた。「こういう時こそある意味で事実上強制という言葉は強いかもわからないが、2次避難所に移っていただくことを政治家の責任で批判を受けてでもやらないと取返しがつかない」と故郷を離れることは心苦しいと思うが、政治家の責任として避難所へ移っていただくことをやるべきだと考えを述べた。難しい問題であり、判断にも苦悩がつきまとうとは思うが、発言に責任を持とうとしない政治家が多い中で、ずばり明言した橋下氏にも一理あると思う。一般論としてはどうだろうか? また、現地石川の被災者たちはどう思うだろうか。

 ついては、先月27日の本ブログに女性大統領が初めて誕生するのではないかと書いた。世界中から注目を集めているメキシコ大統領選は昨日行われ、予想通り左派与党「国家再生運動」のシェインバウム前メキシコ・シティ女性市長が勝ち、勝利宣言を行った。

 本選挙戦では以前から、麻薬組織同士の抗争により、多くの死傷者を出して大きな社会問題として治安がクローズアップされていた。新大統領にとってもこの問題は無視できるものではなく、大統領就任直後から暴力団対策に取り組むことになるだろう。

 それは今後の大きな課題であるが、今注目されているのは、とかく暴力問題が発生し、力任せの男性優位の空気が強い中南米で、初の女性大統領が誕生したという画期的な事実である。他の国でも1つの刺激となり、新たに女性大統領が誕生するかもしれない。メキシコの大統領の任期は、珍しく6年という長期間であるが、今年12月1日に就任する。1期限りで再選は認められていない。

 他方、アフリカ大陸の最南端、南アフリカでは、先月29日に総選挙が行われたが、1994年にアパルトヘイト撤廃運動を主導したネルソン・マンデラ初代大統領が率いた与党アフリカ民族会議(ANC)が、アパルトヘイト撤廃以降30年間に亘って政権を維持してきたが、今回議会で過半数を割り込み、連立政権樹立に向けた交渉を進める。あれほど画期的な人種平等を実現しながら、マンデラ氏の後継者の間に対立や、汚職の蔓延、経済低迷、治安の悪化などが原因で国民の支持を失い、初めて議会で過半数を失った。

 どういう政権が誕生するだろうか。メキシコの女性大統領誕生も南アフリカのマンデラ大統領誕生の経緯を踏まえて、「初心忘るべからず」を肝に銘じて国民に奉仕することを忘れてはなるまい。

2024年6月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6129.2024年6月2日(日) また、ひとり逝ってしまった。寂しい。

 昨日母校である高校の元校長からメールでひとりの高校先輩の訃報が送られてきた。先月親しかった会社の先輩が亡くなられたばかりである。引き続き悲しみの大きいショックである。この高校先輩については、これまで10年近くの間1年に2~3回のペースで、同じ高校同級生、及び同じく同級生の兄に私を交えて4人で会食を楽しんできた。生憎コロナ渦により中止していたところへ漸くコロナも落ち着いたので、昨年3月先輩の自宅に近い横浜市内の中華街でお会いした。その前に奥様に大分認知症的症状が表れたので、近くの設備の行き届いた介護施設に預けて独り暮らしであると言っておられた。気になったのは、そういうご本人が杖を突き、コルセットを身体に巻き窮屈そうに歩いていたことだった。この時の食事会が結局今生のお別れとなってしまった。その後先輩も奥様と同じ介護施設に入られ、回復に努めておられたようだった。

 こうして4人で定期的な会食を楽しんでいたのだが、3人は互いに高校の同級生であり、私は彼らの1年後輩である。先月21日半年ぶりの会食では、体調がまだ回復していない先輩は参加出来なかった。3人で先輩の健康を気遣いながら、次回こそ4人揃って会えると好いねと話し合ったばかりである。ところが、元校長からいただいたメールによると、先月12日に亡くなられたと記されていた。先輩のご回復を祈り、次回こそは4人で食事をともに出来ればと願ったにも拘らず、すでにその9日前に冥界に旅立たれ、その前日には家族葬も行われていたのである。

 タフだった仕事からは解放され悠々自適の我々高齢者にとって、心を許した昔の友人と定期的に会って食事をしながら元気だった若かりし頃を想いながら他愛ない会話をすることこそ、楽しい生きがいのようなものである。そういう仲間がひとり去り、ふたり去って少しずつ寂しくなる。残された3人で彼を想いながら、また会って時を過ごし悔いのない余生を送りたいものである。先輩は享年86歳だった。 合掌

 さて、国内外であまりパッとしない情報が多い中で、明るいニュースとして天皇の名代として常陸宮家の次女佳子さまが、日本とギリシャの国交125年を迎えたギリシャを訪問され、昨日帰国された。

 アテネのパルテノン神殿を訪れた時、ギリシャのカラーである青と白をアレンジした服装を着こなされたセンスなどについて現地で称賛の声が多かったという。ギリシャには、「フィロクセノス」という一言で「外国人好き」というギリシャ語特有の言葉があるほど、外国人をもてなすお国柄である。幸い2004年アテネ・オリンピックの前年にこの言葉についてエッセイを書いたところ、僭越だが、「ギリシャ政府観光局長エッセイ賞」に入賞したことがある。それだけに私自身もギリシャへの想いが強く、佳子さまがテレビで報道される度に関心を持って観ていた。

 佳子さまに「天性の気品と品性が感じられる」など大分好意的に報道されていると思っていた。ところが海外のニュースの取り上げ方について、大分意地の悪いコメントがネット上に溢れている。

 中でも、「日本人が東洋のダイアナと呼んでいる」と伝えられたことに「提灯記事も大概にせよ」とか、「東洋のダイアナとは初耳。日本では誰も言っていない」、「どこぞの若くして事故で亡くなられた元皇太子妃のことではないよね?」等々、嫌がらせや、皮肉っぽいコメントが載っている。

 最近あまりにもネットで本人の知らぬ間に自由気ままにコメントをアップして嫌がらせたり、疑似広告で著名人を揶揄したり欺いたり、かなりSYSによる悪質な発信が、訴訟沙汰にもなっている。自由が規制されないことは、悪いことではないが、これを悪用し、他人を中傷したり、人間性や権利まで侵害するような行動になっては、少し行き過ぎだと思う。

2024年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6128.2024年6月1日(土) 「陪審員制度」を印象付けたトランプ氏の悪徳

 日本では自民党派閥による裏金問題が非難され、広く社会問題化している。一方、現代日本の宗主国?アメリカでは、11月の大統領選を前に共和党のトランプ前大統領が立候補に意欲満々であるが、長年に亘ってスキャンダルなど多くのトラブルを抱えている。一昨日その抱え込んだ裁判のひとつである、不倫したポルノ女優に口止め料を支払い、不正に会計処理した偽証を問われていた裁判で、ニューヨーク地裁の陪審は、有罪の評決を下した。量刑は7月11日に決まる。但し、仮に実刑が言い渡されても大統領選に立候補することは可能だという。

 30日の夕刊の一面トップに大きく米紙の「Guilty(有罪)」と書かれた見出しが出ていた。アメリカの大統領経験者が刑事事件で有罪の評決を受けるのは史上初めてである。このような「悪徳の権化」のような人間に対して非道徳的で破廉恥な罪状により、12人の陪審員全員が「有罪」の評決を下した。至極当たり前である。それにも拘わらず、この評決を知ったトランプ氏は、さらさら反省の気なぞなく、「不正で恥ずべき裁判だ。本当の評決は11月5日(大統領選投票日)に国民によって下される」と怒りを込めて発言した。それでもなお不満やるかたない表情で「私は無実だ。私たちの国では今、不正が行われている。これはバイデン政権が政敵を傷つけるためにやったことだ」と自らの悪行を隠し、自らの非をライバルに転嫁して、まったく評決を認める気がないようだ。

 その評決から間もなくして、控訴するとの意向を表明した。驚くというより、今までにもアメリカ人が普通の常識とは異なる感受性を示すことに少し呆れていたが、それが如実に示される事実があった。それは、有罪評決直後にトランプ陣営に多額の寄付が集まったことである。これほどの罪を犯していながら支援する人が、国内には随分いるのだ。小口献金だけで、何と24時間で約83億円も集まったというから二の句が告げない。

 バイデン大統領もこれらトランプ氏の言動について「無謀、且つ危険で無責任だ」と非難しつつ、「法の上に立つ者はいないというアメリカの原則が再確認された」と冷静にコメントした。

 日本では近年アメリカとは異なる6人の裁判員と3人の裁判官が協議する「裁判員制度」が法令化され、少しは知られるようになったが、元祖「陪審員制度」が以前から定着しているアメリカでは、「全員一致」を求めるアメリカ特有の「陪審員制度」が定着し、図らずも今回のトランプ有罪評決により注目されるようになった。

 トランプ有罪評決を知り、つい学生時代に観た映画「12人の怒れる男」を想い出した。事前にこの12人の男というのは、西部劇に出るカウボーイかと思い、同時に、どうして12人でなければならないのだろうかと疑問を感じた。そして映画自体には、著名な俳優が出演しておらず、ドラマはほとんど室内の議論に終始して、その主人公の建築家が説得する演技と迫力に感銘を受けたものである。映画では、12人中主人公だけが犯人の少年の無罪を信じて、他の11人の固定観念に固まった有罪派の一人ひとりを説得して、同意させたうえで一致して「無罪」と評決する。もう70年も前の古い映画だが、今でも時折想い出すことがある。それが、偶々トランプ大統領のような悪質な候補者の見苦しい猿芝居により見せてもらった。それにしても何と節操のない大統領候補者であろうか。そしてなおトランプ氏を大統領に押し上げようとするアメリカ人が多いことだろうか。これではアメリカも、アメリカ人の評価も劣化する一方ではないだろうか。

2024年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6127.2024年5月31日(金) 電気・ガス料金値上げ? 知らぬ間に?

 一昨日台風1号が沖縄近海に発生した影響で、昨晩から関東地方も強い風雨に襲われたが、日中は雨に降られることはなかった。それでも各テレビ局のチャンネルを捻るとどこも各地の空模様と天気予報を細かく伝えていた。

 5月も今日が最後の1日となった。明日から梅雨の季節6月であるが、今年の6月は例年以上に物価値上げが目白押しで、家庭経済も汲々とさせられる。実際生活用品の値上げが、家計を直撃するが、大きな値上げとして全国の大手電力会社が、6月分電気・ガス料金(7月請求分)の値上げを発表し、その後に医療費も値上げされる。電気・ガス料金は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で天然ガスなど輸入に頼るエネルギー価格が急騰し、電気やガス料金が上昇した。そのため2023年2月分から6月まで国が補助金を支給してきた。その国の補助金がなくなることも大きい。

 因みに今朝の朝日新聞によると、東京電力管内の6月分電気・ガス料金は、7月分の請求額として8,930円(前月より392円増、前年同月より1,544円増)と表示されていた。そこで我が家の昨年(1~12月)の電気・ガス料金を調べてみると、不思議な現象が見られた。それは6月までの前期半年は、月平均15,225円だったのに対して、7月以降の後期半年は最高が、7,240円で月平均6,046円で前期の半分以下だったことである。年間では月平均で10,635円だった。昨年前半の電気・ガス料金は、後半のそれの2倍を超える金額であることには些か驚いている。今年も同じ傾向なら、6月からは値上げというより、しばらく値下げの感覚になるのかも知れない。

 但し、値上げ傾向は殊更7月からと言われるまでもなく、我が家の光熱費を見る限りすでにかなり以前から進行している。気になったので、今年になってからの毎月の電気・ガス料金をチェックしてみたところ、1月は最低の31,889円で最高が3月の53,706円を含めて1~5月の5か月分で、月平均45,006円にもなっている。3月に特に光熱費を使用したという認識がない。全般的に昨年の前半の6か月平均に比べてすでに約3万円近くも値上げされていたのである。我が家の電気・ガスの消費量が知らぬ間に短期間のうちにこれだけ急騰したということが、どうにも納得できない。気が付かなかった消費者が愚かだったということだろうか。出来れば、毎月チェックしてその都度疑問があったら、電力会社やガス会社に問い合わせて調べてみる必要があると思う。

 しかし、医療費の値上げは電気・ガス料金とは異なる。これもトラック運転手などの2024年問題と同じく、医師及び医療従事者の2024年問題で、厳しい過重勤務に医師の残業など医療現場への負担から解放するための値上げである。それは理解できる。だが、そのしわ寄せが高齢者らの肩にかかってきて、彼らを直撃することは何とか軽減することが出来ないものだろうか。

 そこで現在問題の裏金問題から、国会議員が濡れ手に泡でいただいている献金の受け取りや、政治活動費などを支給など無駄な出費は止めた方が好い。これとて金額的には大した効果はないかも知れないが、政治活動費なぞはそれ自体が、国会議員へのお小遣いのようなもので、まったく意味がない。国会議員が国民目線で国民の行動面に気配りをしている姿勢を示す意味でも、政治活動費支給を中止することが効果的ではないかと思考する。立憲民主党、国民民主党、日本共産党などは、この点を強く主張している。こんな無駄遣いは何としても止めてもらいたいものだ。

2024年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6126.2024年5月30日(木) 腹を探り合う都知事選の奇妙なチラシ

 蓮舫・参議院議員が東京都知事選へ立候補を表明してから俄かに都知事選情報が騒がしくなった。昨日は、小池知事が定例議会の後に出馬宣言をすると思われていたが、蓮舫氏の立候補の動きに対して腹の探り合いでもしているのだろうか、立候補表明をしなかった。その間に意外な人たちが立候補を表明した。すでに出馬を公表した石丸伸二・広島県安芸高田市長の他にも、田母神俊雄・元自衛隊航空幕僚長が名乗りを上げた。田母神氏は、2014年の都知事選にも立候補したが、落選し、更に運動員を買収した公職選挙法違反で有罪とされ、昨年5年間の公民権停止処分が解除されたばかりである。他にも先日行われた衆議院東京15区補選で、落選し公職選挙法違反で逮捕されたばかりの黒川敦彦「つばさの党」代表、タレントの清水国明氏が出馬を表明した。この他にも20名を超える立候補者がいるという。

 結局近日出馬を表明するであろう小池知事と、蓮舫議員の一騎打ちになると思われるが、自民党は小池知事との間に貸し借りがあり、自民党は候補者を立てずに知事を推薦する形で応援することになるようだ。

 実は、知り合いのメディア出身のジャーナリストからこのほど1枚のチラシを送ってもらった。珍しく、出所が書かれていないが、興味深いものなので、少々説明してみたい。アピールとして上段に「都知事選・どれもイヤだ!」、下段に「これは都民の罰ゲームなのか!?」と書かれ、出所は書かれていないが、彼によると自民党のある筋が発行したものだという。3人の顔写真が色つきの囲みの中に納まっている。一番上の緑色の枠内には、「緑のふるだぬき 学歴詐称」、二番目は白い枠内に、「白いカミツキガメ 二重国籍」、3つ目は赤い枠内に、「赤かったきつね 東京弱体化」となっている。明らかに1つ目は小池知事で「賞味期限切れ」、2つ目は蓮舫議員で「産地偽装」、3つ目は石丸安芸高田市長で「異物混入疑い」と3人を皮肉っぽくあげつらっている。それにしても自民党内部からこのようなチラシが出て来るとは思いもしなかった。自民党内でも分からない複雑な事情があるのだろう。党としては、小池知事を一応応援してはいるが、それほど積極的に推薦しているわけではない。これも裏金問題などで乱れ切った党内の綱紀を表しているのだろう。

 それにしても理解し難いのは、都内52市町村長が小池知事に3選立候補の要請文を知事に手渡したことである。他にも署名こそしなかったが、立候補を求めた市町村長が10名もいたことである。こんなことはいままでどこの自治体でもなかったことだと思う。100%勝算があるわけではない知事に、貸しを作ったとしか思えない。その内に胡散臭い話が沢山出て来るような気がしてならない。

2024年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6125.2024年5月29日(水) パレスチナ・ガザ地区とミヤンマーの厳しい現状

 一昨日イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区ラファを空爆し、避難民の間で少なくとも45名もの死者を出したが、犠牲になったのは、ほとんど女性と幼い子どもだったという。エジプトを介した停戦交渉が進められ、国際司法裁判所(ICJ)もラファでの軍事作戦の即時停止を呼び掛けた直後の攻撃に対して、各国から非難の声が上がっている。イスラエルのネタニヤフ首相は、「民間人の犠牲について悲劇的な過ちがあった」と弁解らしく述べる一方で、「戦闘を終わらせることはない」と相も変わらず強気の姿勢である。イスラエルの支援国アメリカは、民間人の犠牲を出さないようあらゆる手段が講じられなければならないと、攻撃事態を非難することもなく、単に冷ややかなコメントを述べたに過ぎない。一方、フランスのマクロン大統領は、激しい憤りを感じて、このような作戦は止めるべきだと抗議した。その卑劣な攻撃に強い抗議を示すように、アイルランド、スペイン、ノルウェー3か国は、パレスチナを独立国として承認すると表明した。これで、国連加盟国193か国の内、146か国がパレスチナを独立国家として承認したことになる。しかしながら、対米従属国に成り下がった日本は、アメリカに忖度してパレスチナを承認していない。アラブ諸国の間で対日観が変わると同時に、対日感情が悪化することが懸念される。

 さて、ウクライナとパレスチナの戦闘が大きく報じられる一方で、メディアの話題に上がることが少なくなったミヤンマーでは、2021年2月国軍による軍事クーデターにより、民主派政権が追放崩壊させられた。爾来権力を握った国軍の強制的な政権運営に対して、最近少数民族武装勢力が対抗し、国内では内戦状態の模様である。戦力の減少に悩んだ国軍は、ミヤンマー国内で孤立させられているイスラム勢力ロヒンギャから若者を徴兵し、戦わせているが、その煽りを食ったロヒンギャが今国軍と少数民族の衝突の板挟みに苦悩している。ミヤンマー国内では、不法移民と目され、市民権が与えられていないロヒンギャには、頼るところがなく、生活困窮のために止むを得ず、国軍に入隊している兵士がかなりいる。これについても国連難民高等弁務官事務所が、24日「暴力の即時停止と区別のない市民の保護を求める」と要求し、これにはアメリカもEUなどと残虐行為に説明責任が果たされなければならないと共同声明を発表した。パレスチナとミヤンマーでは、アメリカの言動が不一致なのが、身勝手なアメリカらしい。
 人間の行う残虐行為の収まりがつかない中で、自然災害による天災も起きている。日本でも正月の能登半島地震、最近の天候による風水害である。そして海外でも自然界の攻撃は容赦ない。

 南太平洋のパプア・ニューギニアで去る24日未明に大規模な地滑りが起き、670人以上が犠牲になり、2千人以上の人びとが生き埋めになったままだという。ここの山岳地帯では、今年2月下旬に民族間の紛争があり、26人以上が死亡したと言われたばかりである。地滑りによる被災者は、まだ増え続けるようだ。

 半世紀近く前に戦跡調査のためパプア・ニューギニアを訪れ、同国のニュー・ブリテン島ラバウルばかりでなく、ソロモン諸島のガダルカナル島やブーゲンビル島を回り住民と親しく交流したので、素朴な現地の人びとが不安な生活を送っているのではないかと考えると、気がかりである。現地では多くの民族が混在しているが、表面上は対立を感じることはなかった。だが、そこには外からは分からない民族間の長い対立と葛藤の歴史があるのだろう。当面地滑りによる災害を最小限に抑えられるよう望んで止まない。

2024年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6124.2024年5月28日(火) 遅ればせながら祝エメラルド婚ランチ

 今日は今月10日の結婚55周年、いわゆるエメラルド婚にあやかって半蔵門のフレンチ・レストラン「オー・プロヴァンソー(Aux Provenç aux)」で、妻とお祝いのランチをいただいた。本来なら10日の予定だったが、2月に鑑賞を予定していた若手カルテットの音楽会が、急遽その10日に延期されたため、その日のエメラルド婚祝いを今日まで引き延ばしたものである。3月にゼミの友人に紹介され利用したフレンチ・レストランは、すべてに期待を裏切らなかった。料理といい、雰囲気といい、オーナーシェフをはじめスタッフの応対も好感が持て、妻もこんな美味しいフランス料理は久しぶりだと言っていた。すっかり味を占めて来年もまた来ましょうと調子のいいことを言っていた。まぁ来年も56年目の結婚記念日に美味しいフランス料理を楽しみたいと思う。

 今日は沖縄方面に発生した台風1号の影響で九州方面から西日本にかけて線状降水帯が発生し、関東でも所によって激しい風雨があるということだった。幸い時々降雨はあったが、雨に濡れるようなことはなかった。2時半には帰宅していたが、その後夕刻から風雨が強くなってきた。天気は不良なれども、良き結婚記念日となった。

 さて、他愛ない話だが、子どものころを思い出させるような話題が今朝のTV地方ニュースで伝えられた。それは「クモ合戦」という小さなクモ同士の戦斗というか、ケンカである。今の子どもたちはほとんど知らないと思うが、長い間街の伝統だった「フンチ」と言われるクモ同士を小さな容器の中で戦わせるゲームなのである。戦って相手が逃げたら勝ちになる。

 実は終戦の年、1945年に千葉県勝山町(現鋸南町)へ引っ越し、勝山国民学校へ入学してから5年生時に千葉市内へ転居した。その4年半の間に自宅近くの山へしばしば入り、フンチ(ここでは「カネコ=『カ』に強いアクセント」と呼んでいた)を捕まえては、ケンカをさせて楽しんでいた。毎日カネコ捕獲とケンカ・ゲームに夢中になっていたものである。

 そのフンチ同士の戦斗大会が、同じ千葉県内の富津市で長年に亘って開催されていたそうだが、コロナ渦で中止されている間に子どもたちに忘れられたのか、昨年の大会では参加者が激減した。そこで主催者「フンチ愛好会?」が小学生をフンチの居そうな藪の中へ連れ出して捕獲の方法、戦わせ方などを教えたところ、今年は参加者が元へ戻ったという。

 我々が子どものころは、捕まえたカネコをマッチ箱のような紙箱に入れて2匹を戦わせたものである。仮にクモたちにその気がないと箱の裏底を掻いては戦斗意欲を掻き立て勝負をさせて楽しんでいたものである。学校にもカネコを入れたマッチ箱を持ってくる友だちが随分いた。それほど玩具も遊び道具もない時代だったと言えるだろう。

 富津市の同好会では、これからもフンチ大会を続けていきたいそうだ。子どもたちにとっては素朴で結構な遊びだが、近年化学薬品がやたらに散布される時代になってフンチたちは、生き難くなったのではないだろうか。また、1度カネコの勝負を見てみたいものである。

2024年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com